第495話 守護会議(後編)5
「・・・・・ラルバ様、それはいったいどういう事ですか?」
「ああ、さっき刀時が言ってた敵対宣言の事だよ。実はだな――」
疑問から眉をひそめるプロト。もちろん、光司と刀時以外の守護者たちも難しいような顔を浮かべていた。
「――ていう訳だ。スプリガンは俺たちサイドが目的の邪魔をすれば敵対すると宣言した。自身の目的が何かも明かさずに一方的にだ。こんな態度を取られたら、スプリガンに歩み寄る意志はないと俺は思うわけだが・・・・・・どうだプロト。これでもお前はまだ否定派のままか? ああ、別に無理矢理お前の意見を変えたいわけじゃない、そこは勘違いしないでくれよ。ただ、単純に俺は意見に必要だろう材料を提供しただけだからな」
ラルバは笑顔で淡々とそう言った。もし、ラルバの本心を知る者がこの場にいるならば、よくもまあいけしゃあしゃあと、と思うのだろうが、残念ながらラルバの本心を知る者はここにはいない。ラルバが自分の都合がいい方の結果を引き寄せるために、発言のタイミングを窺っていた事を知る者など誰も。
もちろん、ラルバは本心からスプリガンを危険だと思っている。ラルバのこの考えは光導姫や守護者にとってスプリガンは危険な存在であるという意識から来ているので、ラルバが悪という事はない。ただ、自分の意思と都合がスプリガンを敵と認定する方に完全に傾いているというだけだ。
「・・・・・なら、尚更敵と認定しておいた方がいいだろ」
「『傭兵』の言葉に同じだな」
「まあ、結局問題はそこだよなー」
「・・・・・・・・どうでもいいけど、潰すって言ってるのなら敵じゃないの?」
「敵でいい。戦えるからな」
「うーん、それ聞いちゃったら俺も敵認定派かなー。流石にそれなら敵と認定しといた方がやりやすい」
ハサン、エリア、刀時、イヴァン、葬武、ショットがスプリガンの敵対宣言にそのような言葉を示した。そして、スプリガンの敵対宣言によりどっちつかずの意見であったショットも認定派に回った。これでスプリガンを敵と認定する派は、6人となった。
「・・・・・・・・失礼を承知で申し上げますが、そういった重要な事はもっと早く言っておいてほしかったですね。ラルバ様」
ラルバから敵対宣言の事を聞かされたプロトは、少しため息をついてそう言った。プロトの指摘はもっともだ。そんなプロトの指摘にラルバは、「悪い悪い」と苦笑した。
「じゃあ、重要な判断材料を聞いたお前から改めて意見を聞きたい。プロト、お前の意見は?」
ラルバが再びプロトにそう問うた。流石に他の守護者よりは甘い意見のプロトもこれを聞けば意見を変えるのでは、とラルバは考えていた。
「僕の意見は・・・・・・・・・・・変わりません。依然として、スプリガンを敵とは僕は認定しない」
「っ・・・・・・その理由は?」
しかし、プロトが意見を変える事はなかった。
これには流石のラルバも多少驚かされた。まさか、プロトがまだ意見を変えないとはあまり思っていなかったからだ。




