第493話 守護会議(後編)3
「相変わらずだな『天虎』・・・・・・・・お前のその戦い以外には興味なさそうなところ」
「実際に興味がないからだ。守護者も戦いがあるからこそ俺はやっている。お前とはそもそもの動機が違う『侍』」
「意見を決める場で、そんな欲望全開の理由で意見決めるってどうかと思うけどな・・・・・」
葬武の言葉を聞いた刀時は呆れたような表情を浮かべる。刀時の言葉を受けた葬武はさしたる感慨もないように淡々と言葉を返す。刀時はそんな葬武にまだ色々と言いたいようだったが、ラルバが仲介に入った。
「まあまあ刀時。お前の気持ちも分かるが、葬武の意見も立派なランキング6位の意見だ。ここにいる全員は実力を認められてここにいる。そして葬武の意見もその理由もまた、どんな理由であれ認められるものだ」
「まあ、そりゃそうすっけど・・・・・・」
ラルバの言葉に渋々といった感じではあるが、刀時は理解を示す。ともあれ、葬武の意見を足すとこれでスプリガンを敵と認定する意見は4つとなった。ちょうど今いる8人の半分の意見だ。
「俺は・・・・・・めんどいから認定派にしときます。敵とか敵じゃないとか、正直どうでもいいんで。多数派に入れときますよ」
葬武の意見の後に、疲れたようなやる気のない声でそう言ったのは銀灰色の髪色の少年だった。その声に惹かれるように、その顔も灰色の瞳もめんどくさそうな色を示していた。
抜けるように白い肌とは対照的に、少年(といっても見たところ歳の頃は、エリアと同じ18くらいだが)黒いコートを無造作に羽織ったランキング5位『凍士』のイヴァンはこれまた他とは違う理由から、意見を述べた。
「ふっ、面倒だからか・・・・・お前はやはりロシア人らしくないロシア人だな『凍士』」
「・・・・・・・ロシア人がみんな真面目で冷静な奴っていう偏見はやめてくれないか『銃撃屋』。あんただってイタリア人のくせに陽気とは真反対な奴じゃないか。なら、面倒くさがりのロシア人がいても別にいいだろ」
「確かに。お前の言い分の通りだな。非礼と偏見を詫びよう。素早く自分の非を認められるのが一流だからな」
エリアの言葉にイヴァンはそう反応して息を吐いた。イヴァンに痛い事を言われたエリアは少しだけ口角を上げ帽子に手を当てた。
(戦いたいから、面倒だから・・・・・? これは重要な会議だ。そんな理由で本当に大丈夫なのか・・・・・・?)
葬武とイヴァンの意見の理由を聞いた光司は、その真面目さゆえからそんな事を思っていた。いや、先ほどラルバが言ったように実力でこの場にいる者には、その意見と理由もどのようなものであれ認められるものだ。だが葬武、いや特にイヴァンの理由などは例え認められるとしても、光司にとっては疑問を抱かざるを得ないものだった。




