第489話 守護会議(前編)4
「・・・・・気にするな。別に命の危険があるのは俺だけではない。守護者をやっている以上、お前もここにいる全員が背負っているリスクだ。だから、お前が気にする事などは全くない」
「いや、確かにそうなんだけどさ・・・・・・・うーん、中々伝わらないかね。まあ、いいや。お前がいる事で良しとしとこう!」
少年の答えに表情を難しいものにしながら、最後に刀時は明るく笑いそう言った。どうやら、この少年のこういうところは変わっていないようだ。
「久しぶりだなエリアの旦那。相変わらずのクールぶりだ。銃の腕は落ちてないかい?」
「・・・・・・愚問だなショット。とても一流に対してする質問ではないな。俺の銃撃の腕は上がることこそあれ、落ちることは決してない」
「ははっ、そりゃ悪かった。確かに旦那にするには愚問だったな」
「構わない。それよりお前の腕はどうなんだ? 1年前にここで会った時は、生身での狙撃可能距離は800メートルが限界と言っていたが」
「俺かい? 聞いてくれよ旦那。実はだな、この1年で変わらずに趣味でライフルで遠くの物撃ちまくってたら、距離が伸びて今じゃ生身で1キロ先のやつでも外さない腕になったんだ。いやー、嬉しいもんだよ」
「・・・・・趣味の領域でその神域か。軍隊や裏社会が喉から手が出る程に欲しがる逸材だな、お前は」
一方『天虎』の隣の席に腰掛けたダークスーツの青年と、そのダークスーツの青年の左横の席に腰掛けた、ライトブラウンの長髪の青年はそんな話をしていた。少し、いやかなり会話が物騒だなと2人に注意を払っていた光司は思った。
(剱原さんの隣のあの少年が、ランキング2位『傭兵』、『天虎』の隣のあの人がランキング7位『銃撃屋』、そして『銃撃屋』と話をしているあの人は、ランキング8位『狙撃手』か・・・・・・・・)
新たに席に着いた3人の最上位ランカーたち。いずれも光司は彼らに会ったのは今日が初めてだった。これで空席の席は、1位の席と4位の席と9位の席の3つだけだ。
「ん? ラルバ様の横の10位くんは初めて見たな。前の10位はランキングが落ちて、君がランキング10位に上がったのか?」
「っ、はい、そうです。僕はランキング10位『騎士』と言います。まだ守護者になって1年弱の若輩者ですが、よろしくお願いします」
光司に気がついたランキング8位の茶髪の青年が、光司に視線を向けた。『狙撃手』の言葉に、光司は頭を下げてそう挨拶した。ちなみに、この神界では言語は光導姫・守護者に変身した時と同様に、全て通じるようになっている。ゆえに、言語の壁は今はない。
「へえ、1年でランキング10位ね。こいつは中々やると見ましたよ、ラルバ様」
「そうだろ? 光司はかなりの有望株だ。もしかしたら、お前もすぐにランキング抜かされるかもだぜ、ショット」
「マジっすか。じゃあ、そうならないようにボチボチ頑張りますよ」
ショットとラルバが明るい感じで言葉を交わす。どうやらランキング8位は、フレンドリーな人物のようだ。光司はショットの雰囲気からそう感じた。
それから10分ほど経った頃、新たに光のゲートがまた1つ出現した。




