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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
485/2051

第485話 会議前日(5)

 響斬は適当にSNSに「東京、美少女、金髪」などとそれっぽいキーワードを入れて、検索していく。もちろんそのキーワードにヒットするようなものはいくつもある。だが、後はひたすら探していくしかない。これでヒットしなかったら、また他のキーワードを入れて検索するだけだ。

「本当なら、こんな事しなくても僕が現地に行けばいいだけなんだけど・・・・・・やっぱり、あそこはな・・・・・・・・・」

 響斬は画面をスクロールさせながら、日本での残り1つの情報が示す地の事を思い出す。

 その地は日本の北、青森県に位置する霊場。日本3大霊場にも数えられるその地は有名な地だ。

「・・・・・・本当にあそこにレイゼロール様が探してるカケラがあるなら、霊場としての性格は、もしかしてそのカケラ由来だったりしてね」

 響斬がそんな事を呟く。正確な事は分からないので、あくまで想像だ。しかし、その可能性も無きにしも非ずだろう。

 響斬が得た情報。それは、日本の北の霊場では遥か太古の黒い石のカケラを祀っているというものだった。

 カケラの1つがあるかもしれないその地の名は――恐山といった。














「・・・・・・・いよいよ、明日が会議か」

 神界、その自身のプライベートスペースで1柱の神がそんな言葉を呟いていた。

 外見は20歳くらい。美しい金色の髪に蒼穹を閉じ込めたような美しい青色の瞳の、作り物のように美しい男性だ。しかし、ここは神界。男性がここにいるという事は、男性は人間ではなく神であるという事を証明していた。

 服装はジーンズとパーカーだ。別に男性は神らしい昔からの服も持っているが、こちらの服装の方が気楽なのでここ最近は神界でも、男神はこの服装のままだ。

「・・・・・明日でスプリガンを敵と認定するかどうかが決まる。守護者側はたぶんスプリガンを敵と認定する奴が多いな。光司とかを始め、リスクの方に重向きを置く奴らが今の『守護十聖』には多いし。もしかしたら1位のあいつは反対するかもだが、それは別にどうでもいい。意見の総意は多数決だ」

 現在の守護者のランキング1位から10位の少年たちの事を思い浮かべながらその男神――守護者の神ラルバは明日の会議の結果を予想する。守護者の少年たちの性格を鑑みてラルバはそう予想したので、おそらく守護者側の会議の結果は、「スプリガンを敵と認知する」事に落ち着くはずだ。

「問題は光導姫側だな・・・・・・あっちはソレイユの管轄だから、どうなるかわからない。しかも、なぜかソレイユはスプリガンを敵にしたくないような節があるしな・・・・・・・・・・」

 ラルバは顎に手を当て思考する。そう、スプリガンを敵と認定するためには、光導姫・守護者の最上位クラス、具体的には各ランキング10位までの意見を聞かなければならない。そして、最終的にスプリガンを敵とするかどうかをソレイユとラルバが纏める。この纏める方法はそれぞれのランカーたちの多数決の意見である。この意見の結果を元に、スプリガンを敵とするか、そうでないとするかを決める。それがラルバとソレイユが交わした約定だった。

(別にソレイユを疑ってるわけじゃない。多分、ソレイユは()()()()()()()。最近のカケラの事といい、レイゼロールの目的が成就する日は近いかもしれないと危惧してるからこそ、利用できるものは利用したいんだろう。・・・・・・確かに、闇の力とはいえスプリガンの力は魅力的だ。スプリガンが味方であれば、戦力的に助かるのは間違いない)

 ソレイユに対する疑念のようなものに、ラルバは自分で答えを与える。一見、別に何ら間違ってはいない答えのようだが、ラルバは気が付いていない。その答えが、自分の惚れた女神を無意識に庇って出した答えだという事に。

(・・・・だが、スプリガンが危険であるという事実に変わりなはい。元々、危険な人物だと俺は思ってたが決定的だったのは、この前の敵対宣言だ。奴は、明確に俺たちの事を敵だと言い切った)

 最上位闇人やレイゼロールすらも退ける程の力を持ち、闇の力を扱うスプリガン。ラルバ個人はスプリガンの事を敵だと認識している。全てが謎に包まれている人物だが、スプリガンは敵。それがラルバの結論。

(敵ならば早めに手を打たないとだ。・・・・・・・・それに、俺にも()()()()()()()。戦場に不定期に出現するスプリガンは、もしかしたら俺の計画の障害になるかもしれない。全く・・・・・全てが謎な奴ってのは厄介なものだな)

 心の内で、ラルバは冷たい声音でそう呟く。実はラルバには、ソレイユも知らない1つの計画がある。そして、その事は自分と()()1()()以外には決して知られてはいけないものだった。

「・・・・・・・・・・もし、スプリガンを敵と認定する事が出来なかったら、俺も()()()()()()()()()()()()()

 他人や他の神が聞けばゾッとするような声音で、守護者の神は肉声に出してそう呟いた。

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