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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
483/2051

第483話 会議前日(3)

「実戦研修ね・・・・・・・光導姫同士と守護者同士がドンパチ戦い合うって感じか? 中々厳しいじゃねえか。実戦だったら、多少ケガもするだろうし」

「ええ、厳しいですよ。光導姫は講師の光導姫と戦いながら問答をするんですが、講師の光導姫が研修生の光導姫の答えをとにかく否定していくんです。それに加えて、講師の光導姫は手加減はするとはいえ、けっこう容赦なく研修生をボコボコにします。それを1週間繰り返して、研修生の思いの芯を構成させ、能力を拡張、又は強化するんです。だから、あなたの言うようにケガはつきものですね」

 もちろん、ケガをすれば医療室に連れて行ってもらったり、治癒系の能力を持つ光導姫が介抱してくれるが。ソレイユはそう付け加えた。

「中々っつうか、かなりエゲツないなそれ・・・・・まあ、それくらい厳しくしなきゃ強くなれないって事か」

 ソレイユから研修の内容を聞いた影人は、若干引いていた。どこの軍隊の訓練だ。スパルタに過ぎる訓練である。

「そういうことです。ああ、それと影人。もう1つ伝えておく事がありました。時期は少し先になりますが、ちょうどいいので伝えておきます」

「ん・・・・・・・・? 何だよ?」

 何かを思い出したようなソレイユに、影人はなぜか、本当になぜか嫌な予感がした。

「一応、個人情報ですけど『聖女』の時と同じく教えておきます。明日会議に参加する光導姫ランキング2位『歌姫』は、8月の中頃に日本でライブをする、『世界の歌姫』と同一人物です」

「・・・・・・・・・・」

 ソレイユから伝えられた情報を聞いた影人は、何も言わずに軽く顔に手を当てた。頭に過ぎるのは近い記憶である『聖女』の時のことだ。いや、あれはあの聖女サマがちょっと電波系なところがあって、それでたまたま自分と出会っただけだ。あんなふざけた奇跡が2度も起きるはずはない。

 そして、それはそれとして、自分が紫織の家の倉掃除に行っていた時期に、自分はニュースを見ながらその歌姫に向かって、この人も光導姫なんて事はないだろう的な事を呟いていた。今思えば盛大なフラグにしか思えない。で、そのフラグは見事に機能した。

「・・・・・・今年の夏は光導姫がよく来るな。しかも有名人で最上位の奴らばっかじゃねえか・・・・・・・・」

 とりあえず、影人は前髪の下で遠い目をしながらそう言った。そんな影人にソレイユは苦笑を浮かべながら言葉を返す。

「確かにそうですね。でも、今度は流石に関わり合いにはならないでしょう。影人、彼女のファンとかじゃないですよね?」

「ああ、ファンとかではない。・・・・・お前の言う通り、流石に今回は関わり合いにはならんと俺も思うが、この世の中何が起こるか本当にわからねえんだよな・・・・・・・・」

「やめてくださいよ。そう言われると、またあなたが『聖女』の時みたいに『歌姫』と邂逅しそうじゃないですか。ただでさえ、あなた呪われてる疑惑あるんですから・・・・・」

「だから、それが怖いんじゃねえか・・・・・・・」

 なぜだか不安な気持ちになりながら、影人とソレイユは顔を見合わせた。

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