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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第480話 新たなる研修(5)

「? 陽華、あの子と知り合いなの?」

「うん、ちょっとしたね。帰城さんって言うんだけど、お兄さんが風洛にいるみたい。学年は私たちと一緒だって」

「へえ、そうなんだ。っと、話はまた後でね。アイティレさんが軽く睨んでる」

 ヒソヒソ声で話をしていた陽華と明夜だったが、講師リーダーであるアイティレに睨まれたために、その話は中断に終わった。小学生と先生みたいである。

「早速、研修に入ると言いたい所だが、まずは本研修の目的と研修のやり方について説明しなければならない。諸君らは、静かに聞いていてくれ」

 アイティレはそう前置きすると、少年少女たちに新たなる研修の説明を行った。

「本研修の目的は、光導姫と守護者によってその目的内容が異なる。もちろんやり方も異なるが、それはまた後で説明する。先に光導姫の目的から述べていこう。光導姫の目的は、能力の拡張だ。光導姫にとって能力とは、自身の強さに直結するものであり、浄化に関わる重要な要素だ。本研修ではその能力の拡張、又は強化を行なっていきたいと考えている」

 アイティレが光導姫の目的の説明について述べると、アイティレの横にいた刀時が「じゃ、守護者の目的の説明は俺から」と言って、アイティレからその部分の説明を引き継いだ。

「守護者の目的は、自身のやり方についての確認と戦闘時の判断を鍛える事。このやり方っていうのは、自身の守護者のスタイルのことね。守護者は基本的には、光導姫を守る存在でその役割上守りのスタイルになりがちだけど、中には守るより攻める方が自分のスタイルに合ってるって奴もいる。俺は完全にそっち方面。で、君たちにはこのスタイルってやつを自覚してもらいたいって訳だ」

 闇奴を攻撃し積極的に闇奴を弱らせ光導姫の負担を軽くするか、セオリー通り光導姫を闇奴の攻撃から守り補助するか。まずは自身のやり方を確認しなければ、守護者としての力は完全に発揮できない。刀時はそう付け加え、守護者の目的の説明を終えた。

「光導姫と守護者の目的についての説明は以上だ。次はやり方の問題だが、ここからは光導姫と守護者に分かれてやり方についての説明を行う。光導姫たちは体育館の左のスペースに移動してくれ。守護者の方は体育館右のスペースに。守護者たちはこれからは『侍』の指示に従ってくれ」

「はい、じゃあそういう事だから、守護者の君たちはこっち来てー」

 アイティレと刀時の指示に従い、研修生たちがそれぞれ男女に分かれていく。講師陣も、光導姫側にアイティレ、風音、真夏、穂乃影が、守護者側に刀時、光司と分かれていく。

「それでは新人の光導姫諸君。研修のやり方を教える。君たちはこれまでの午前の研修で、光導姫について様々な知識を学んだと思う。例えば、光導姫の能力は自身の性質に起因したもの。光導姫の力は、人の正の気持ちを力とする事、といったものだ」

 アイティレが新人の光導姫たちを見ながら、言葉を述べていく。陽華、明夜、火凛、暗葉、典子などももちろんその表情を真剣なものに変え、アイティレの言葉に耳を傾ける。

「先ほど私はこの研修の目的を能力の拡張、又は強化と述べた。火、水、雷、風、氷、土、自然、その他にも光導姫の力の性質はまだまだある。君たちには自身のその性質を拡張、又は強化してもらいたい。そして、その性質の拡張・強化をするために必要なのが、強い正の気持ちだ。正の気持ちとは、希望、不屈、守護の思いなどといったものだな」

 アイティレはそこで一旦言葉を区切ると、続きの言葉を口に出した。

「――光導姫の力は心の力。心という不安定な力に向き合ってこそ、私たちは強くなれる。だから、諸君らも自身の心に向き合い、正の感情を心に燃やしてほしい。自身の性質を理解し、揺るぎない自分の芯を作れ。自分たちがなぜ光導姫になったのか、その原初の思いを芯とすれば、自分の力は答えてくれるはずだ。・・・・・・・・『影法師』、『メタモルボックス』の起動を頼む。モードはプラクティスルームだ」

「・・・・・分かりました」

 アイティレの指示を受けた穂乃影が、ステージのところまで移動する。そして、そこに置かれていた真っ白なキューブに触れる。穂乃影はそのキューブに必要な起動の言葉と、モード選択の言葉を述べた。

「・・・・『メタモルボックス』起動。モード、プラクティスルーム」

 穂乃影がキューブに触れそう呟くと、体育館内の景色がガラリと変わった。真っ白な黒い線が奔った広大に過ぎる部屋へと。

「さて、では()()()()()()。なに、諸君らの芯を構成し、能力を拡張する方法は簡単だ」

「「「「「「っ!?」」」」」」

 アイティレの突然の言葉に新人の光導姫たちは驚きの表情を浮かべる。そんな研修生たちの表情を無視して、アイティレはジャージのポケットからある物を取り出した。

 それはアイティレの瞳の色と同じ、赤色の小さな宝石だった。いや、宝石を模したオモチャのような贋作だ。アイティレはそのオモチャのような赤い宝石を握りしめて、ある言葉を唱えた。

「潔白の正義を私は掲げよう。正義を為す銃を私は撃とう。潔白の正義は私と共にこの身を変える。――形態変化」

 アイティレがそう言葉を唱え終わると同時に、オモチャのような宝石が純白の輝きを放つ。その輝きが数秒ほど世界を照らしたかと思うと、アイティレの姿は変化していた。

 白色を基調とした軍服のような服装。頭には軍帽のような帽子を被っている。そして、両手には2丁の拳銃。そこにいたのは、ロシア最強の光導姫『提督』であった。

「――諸君ら全員、私、『巫女』、『呪術師』と問答をしながら戦ってもらう。戦いの中で、自分たちの思いを示せ」

 アイティレはそう言って、珍しく意地の悪い笑みを浮かべた。


 ――新たなる研修、光導姫・守護者『実戦研修』。開始。

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