第474話 妹と隣人と(4)
「・・・・・・・そう、かもしれない。でも・・・・・・・・でもね、シェルディアちゃん。私にはあの人に対して寂しいって思う資格すらないの。だから・・・・・・・そう意味では、私は寂しくはない」
「・・・・・・・・・・そう。あなたの資格云々の話は私には分からないけど・・・・・穂乃影、あなたけっこう面倒な性格をしているのね」
寂しいかもしれない、でも寂しくない。シェルディアの指摘に耳を傾けた穂乃影は、矛盾している言葉を口に出した。穂乃影のその矛盾した言葉の意味を言葉の流れから理解したシェルディアは、正直な感想を言葉に出した。
「・・・・・・うん。自分でもそう思ってる」
シェルディアの自分に対する正直な感想に、穂乃影は控えめに笑みを浮かべた。自分の性格が面倒な事は自分が1番自覚している。
「でも可愛い性格でもあるわ。その面倒くささこそが、人間のいい所でもある。ねえ、穂乃影。そんなに影人の事が気になるなら、その疑問を影人に直接ぶつけてみなさいな。きっと、影人はあなたの疑問に答えてくれるわ。あの子はそういう子よ」
暖かみのある口調で、シェルディアは穂乃影にそう促した。影人の妹という事もあって、シェルディアは穂乃影の事も気に入っている。そんな気に入っている人間が、暗い表情をしているのはあまり面白いものではない。
「・・・・・・・アドバイスありがとうね、シェルディアちゃん。私より年下なのに、何だかシェルディアの方が年上みたいだね・・・・・」
シェルディアのアドバイスに軽い苦笑を浮かべる穂乃影。だが、その表情はアドバイスを受けても晴れやかなものにはなっていない。苦笑を浮かべてはいるが、根本の暗さは変わらないままだ。
(まだ、踏ん切りはついていないようね。多分、帰っても影人にすぐに疑問はぶつけない。もう少し、時間は掛かりそうね)
穂乃影の表情からその事を悟ったシェルディアは、もうこれ以上は何も言わない事を決めた。おそらく、これ以上は言っても無駄だ。結局のところ、気持ちの持ち用は本人しだいなのだから。
「・・・・・・・・・ふふっ、そうかしら。じゃあ、帰りましょうか穂乃影」
内心の心情とは裏腹に、シェルディアは笑みを浮かべ穂乃影にそう言った。
「うん・・・・・」
シェルディアにそう促された穂乃影は、再び帰路を歩み始めた。




