第469話 妹の疑念(4)
「会長の次は僕ですね。会長と一緒で、風洛高校に通っている香乃宮光司です。学年は2年。ランキングは10位。守護者名は『騎士』。まだまだ若輩の身で、力が不充分なところもありますが、よろしくお願いします」
イケメン特有の爽やかな笑顔を浮かべながら、光司はそう自己紹介した。その爽やかなイケメンスマイルを見た穂乃影は、「この人絶対にモテるんだろうな」と確信していた。このレベルのイケメンを女子は放ってはおかないだろう。
そして穂乃影以外の全員の自己紹介が終わった事で、必然的に最後に穂乃影が自己紹介をしなければならなかった。
「・・・・・・では、最後に私の自己紹介を。私は扇陣高校1年の帰城穂乃影といいます。ランキングは75位。光導姫名は『影法師』。恐らく補助に回されると思いますが、よろしく――」
穂乃影がお願いしますと言葉を続けようとした時であった。穂乃影の自己紹介を聞いていた、真夏と光司が揃ってこんな声を上げた。
「「帰城?」」
「え? はい、私の名字ですけど、それが何か・・・・・・・?」
訝しげな顔で声を上げた2人に、穂乃影は逆に驚いたようにそう聞き返した。
「あなた、もしかして・・・・・・帰城影人くんの妹さん?」
「っ・・・・!? あ、兄をご存知なんですか・・・・?」
そして真夏のその言葉に、穂乃影は珍しく目を見開いて驚いた。まさか、ここで影人の名前を聞く事になるとは完全に思っていなかった。
「あ、やっぱりそうなのね! なーんだ、帰城くん妹がいたのね! しかもこんなに可愛い妹さんが! いやー、まさか帰城くんの妹さんが光導姫だったなんてね! 世界は狭いわ!」
穂乃影を興味深そうに見つめながら、真夏がカラカラと笑う。そして真夏に続くように、光司も穂乃影に言葉を掛けてきた。その顔は、なぜか嬉しそうだ。
「帰城くんに妹さんがいて、こんな所で出会うなんて・・・・・・・・・・帰城さん、僕は君のお兄さんには色々と感謝しているんです。出来れば友達になりたいと心の底から思っているんですが、中々彼には拒絶されてしまっていて・・・・・・・あ、帰城くんが悪いとかそんな意味じゃないですよ! 確かに帰城くんは少しぶっきらぼうだけど、本当は優しい人なのを僕は知ってますし。むしろ、拒絶されているのに何度も彼に話しかけてしまう僕が悪いんです。でも、彼とは本当に友達になりたくて――」
「は、はあ・・・・・・・・」
早口で影人に対する考えというか思いを述べる光司に、穂乃影は困惑したような表情を浮かべた。いったいどういう事だ。なぜ、こんなイケメンがあんな前髪に顔の半分を覆われている兄について、早口で口調を熱いものにして語っているのか。しかも、何度もこのイケメンの方から友達申請を行っているというのに、どういう事かあの前髪はそれを何度も拒絶しているらしい。全くもって話が理解できない穂乃影であった。




