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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第463話 競えよ乙女、顔合わせ(3)

 あと、美希もまだまだ充分に若い年頃ではあるが、海輝はあえてそこにツッコミを入れなかった。美希が言っている若いの意味は、恐らくそういう意味ではないだろうと海輝は感じたからだ。

 それから、残りの研修者たちも全て往復ダッシュを終え、スタート地点に戻って来た。最後に戻って来たのは相変わらず暗葉であったが、それでも最初に比べれば随分と早くなった。

「さて、皆さん往復ダッシュお疲れ様です。この後はいつも通り、腕立て伏せ50回、腹筋50回、スクワット50回をしてもらって、再びダッシュ走。その後に『メタモルボックス』を解除して扇陣高校に戻り、本校の外周を10周。クールダウンに1周走ってもらって、研修は終了です。なお、先ほどアナウンスした通り、明日から午後の研修の内容が変わりますので、皆さん頑張って今日のメニューを終えてください」

 海輝が集まった少年少女たちにそう告げた。そして、海輝の言葉に続くように美希も言葉を述べた。

「今日までサボらずに研修を頑張ってきた皆さんなら出来ます! キツい体力作りのメニューも今日で一旦終わりです。ふっふっふっ、そしてそんな皆さんの為にご褒美を持ってきました! お菓子です! だから皆さん今日も一生懸命やり切りましょう!」

「「「「「はいッ!」」」」」

 美希が鼓舞の言葉を掛けると、研修者たちはそう言葉を返した。どこか嬉しそうというか顔が明るいのは、お菓子云々のご褒美よりも、今日でこのキツい体力作りが一旦終わる事、また素直に鼓舞の言葉に元気づけられたという一面があるからだろう。

「それでは、次のメニューを始めましょうか。各自、周囲と少し距離を取ってください」

 海輝の指示が飛ぶ。先ほど顔を突き合わせていた陽華と典子も、指示に従いお互いに距離を取った。

「次は負けないからね、双調院さん・・・・・・!」

「次も負けませんよ、朝宮さん・・・・・・!」

 2人はお互いにそう宣言し合うと、「「ふんッ!」」と顔を背けた。

 ――命短し競えよ乙女。対抗心を糧として。その糧がいつかの力になると信じて。














「・・・・・・・・・・」

 午後3時。陽華と典子が競い合い、他の少年少女たちも研修に励んでいる中、1人の少女が扇陣高校内を歩いていた。黒い長髪に端正な顔立ち。扇陣高校の夏服に身を包んだその少女の名は、帰城穂乃影といった。

(・・・・・明日から始まる研修の為の顔合わせか。お金貰う立場だから、あんまり文句は言えないけど・・・・・・・・正直、嫌だな。他の光導姫と守護者とかと会って話すの。しかも、今回集まるメンバー私以外全員ランキング10位内だし・・・・・・・・)

 廊下を歩きながら、穂乃影は内心そんな事を思った。穂乃影は兄の影人ほどぶっきらぼうでもないし、コミニュケーション能力は低くないと思っているが、穂乃影もそれほど他人と話すのが得意というわけではない。しかも今回会うのは、いずれも初めて話す人物たちと初対面の人物ばかりだ。それにプラスの要因として、最上位の光導姫と守護者しかいないという状況も、はっきり言って変な緊張感がある。

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