第451話 研修2日目、会議決定(1)
扇陣高校で研修が始まって2日目の8月2日。陽華と明夜は昨日と同じように、朝から扇陣高校にやって来ていた。
「うぐ・・・・・・筋肉痛が痛いわ。昨日久しぶりにあんな体動かしたから・・・・・・・はぁー、今日も昨日と同じ事をやらなきゃと思うと憂鬱ね」
風洛のジャージに身を包んだ明夜がため息を吐きながら、自分の体に触れる。書道部という事もあり、明夜はどちらかというと文化系なので、体を動かす事はそれほど得意ではないのだ。
「ふふん、だらしないなー明夜は。私は筋肉痛なし! ピンピンだよ! これが若さだっ!」
「何が若さよ。あんた私と歳一緒でしょ。陽華が筋肉痛ないのは、元から体力あるフィジカルモンスターだからよ。もっと砕けて言うとメスゴリラね」
ドヤ顔でそう言った陽華に、明夜はジトっとした目を向ける。ついでに恨み言の1つもぶつけた。
「だ、誰がメスゴリラよ明夜!? そう言う明夜はアホの中のアホじゃん!」
「ふっ、私は書道部の文化系よ? 帰宅部のくせに、そこらの運動部員よりもフィジカル高いゴリラよりは賢いに決まってるのよ。という事で、私の勝ち。ほら、もう着いたからこの話は終わりよ」
プンスカと怒る陽華に、珍しく明夜がクールに煽り言葉を返した。そして、2人がそうこう言い合っている内に、午前の研修を行う会議室に辿り着いていた。行うのは、昨日と同じく座学だ。
「む、むぅ〜・・・・・・・・・」
「ふふん」
明夜にそう言われた陽華は納得がいかなさそうに、その頬を膨らませた。そんな陽華の表情を見た明夜は気持ちよさそうに笑みを浮かべると、扉を開けた。
扉を開けると、昨日と同じように光導姫・守護者の少年少女たちがバラバラに席に座っていた。陽華と明夜も特に考えなく昨日と同じ席に座ろうと思って、席に向かって歩いていると、その途中でこう声を掛けられた。
「2人とも、おはようさん」
「あ、火凛。おはよう」
陽華が自分たちに声を掛けて来た、関西弁が特徴な少女の名を呼んだ。昨日親しくなった少女、御上火凛だ。
「ふ、2人とも、おはよう・・・・・・」
「おはよう暗葉」
火凛の横からなぜか申し訳なさそうに姿を現した少女、四条暗葉も2人に挨拶をしてきた。暗葉には明夜が反応し、挨拶を返した。この少し暗めの少女も昨日親しくなった人物だ。
「どや、せっかくやから、ウチらの近くの席に座らんか? その方がおもろいやろ。なあ、暗葉?」
挨拶もそこそこに、火凛が自分たちの空いている前の席を指差しながらそんな提案をしてきた。火凛に意見を求められた暗葉は、「わ、私・・・・・? た、確かに、それは嬉しいけど・・・・・・・・」と慌てたように、申し訳なさそうに言葉を呟いた。
「そうだね。じゃあせっかくだから、私たちはここに座るね」
「いいわねこういうの。するつもりはないけど、もし居眠りとかしちゃったら、起こしてもらえるし」
火凛の提案をすぐに受け入れた2人は、火凛と暗葉の前の席に腰を下ろした。




