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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
443/2051

第443話 ある少女との出会い(3)

「・・・・・・なるほど。しかと理解しました。説明を行なっていただき、感謝いたします」

「いえいえ。そういった質問に答えるのも講師の役目です。それに元々今の話はこの後にするつもりでしたから。逆に質問をしてくださって手間が省けました。ありがとうございます、双調院さん」

 質問の答えを得た典子が、律儀に海輝にお礼の言葉を述べる。その典子の言葉に海輝も感謝の言葉を口にした。

「ほへー、そんな理由があったんですねー・・・・・・・さあ、皆さん他に質問がある方は今のうちに中田先生にどうぞ! それが終わり次第、午後の研修を始めますよー!」

「・・・・・・加辺先生はまた後でお話ししましょうか。とりあえず他に質問がいる方はいませんか? いなければ、先生の言われた通り研修を開始しますが」

 美希に対する言葉の部分で、若干笑みを引き攣らせた海輝。海輝の言葉を受けた美希は「あ、あはは・・・・・・・了解です」と露骨な苦笑いを浮かべていた。実は過去の研修の手引書を真面目に読んでいなかった事がバレたようだ。

「質問はなさそうですね。それでは、午後の研修を始めます。まずは場所を変えますので、皆さんは少しだけ待ってくださいね」

 しばらく周囲を見渡した後、質問がなさそうな事を察した海輝はそう宣言すると、体育館のステージの縁に置かれていた真っ白なキューブに触れた。

「扉も窓も全て閉まっていますね。では――『メタモルボックス』起動。モード、平原」

 海輝が真っ白なキューブに触れながらそう呟くと、キューブを光源として眩い光が体育館内を照らした。ほとんど全ての少年少女たちは驚いたような表情を浮かべ、中には驚きから声を上げる者もいた。例えば、陽華と明夜の近くにいた火凛と暗葉は、「な、なんや!?」「う、うわ・・・・・・!」などといった声を上げていた。

 唯一、普段から風音やアイティレなどとの鍛錬でメタモルボックスを利用している陽華と明夜は驚いていなかったが、2人がメタモルボックスを利用している時に使っているフィールドは、風音と初めて戦った時に使っていたプラクティスルームだけだ。ゆえに、いま海輝が言った平原というフィールドはどのような場所なのかは、2人も知らなかった。

 光の輝きが収まる。すると、そこは青空の下どこまでも続く平原に変わっていた。

「な、なな何やここ!? ウチらついさっきまで体育館の中におったやろ!? ど、どないなっとるんやーーー!?」

 陽華と明夜以外の少年少女たちの言葉を代弁するように、火凛がそう叫んだ。火凛の叫びは決して大げさなものではないだろう。誰だって一瞬の間に、体育館内から異空間の平原に光景が変われば驚く。実際、最初は陽華と明夜も大変驚いたものだ。

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