第441話 ある少女との出会い(1)
昼休みに仲を深めた、陽華、明夜、火凛、暗葉の4人は、場所を知っている陽華と明夜の案内の元、第3体育館を目指していた。
第3体育館にたどり着き中に入ると、そこには先ほど会議室にいた少年少女たちの姿があった。
「――はい、注目! 所定の時間になったので、今から研修午後の部を開始しまーす! なお、ここからの研修は神崎校長ではなく、私と隣の中田先生が講師になります!」
体育館内に明るい女性の声が響いた。よく見てみると、体育館の前方に2人のジャージ姿の男性と女性がいる。そして今聞こえた声は、女性が発したようだ。
「まずは自己紹介からですね! 私の名前は加辺美希って言います! この扇陣高校で体育教師やってます! ちなみに私も過去には光導姫やってました! ランキングは最高60位で、やってた期間は5〜6年です! そういう事情もあって、研修の講師に任命されました! 以後よろしく!」
歳の頃は、おそらく20代前半といった感じだろう。体育教師らしく、ショートカットな髪を揺らしながら、気さくな笑顔で元光導姫を名乗った女性はそう自己紹介した。
「では、次は僕ですね。僕は中田海輝って言います。加辺先生と同じく、この扇陣高校で理科の教師として勤務させてもらっています。一応、僕も過去には守護者をやっていました。ランキングは最高47位。守護者をやっていた期間は7年くらいです。事情は加辺先生と同じです。短い期間ですが、よろしくお願いします」
美希の自己紹介に続き、隣の男性も自己紹介を行なった。メガネをかけ、柔和な顔立ちのその男性はいかにも理系の教師ぽかった。歳は美希とそれほど変わらないように見える。
「へえ・・・・・・元光導姫と守護者がコーチかいな。ええやん、本格的にらしくなってきたで」
2人の自己紹介を聞いた火凛がニヤリと笑みを浮かべた。元光導姫と守護者。初めて会ったその存在に、集まった少年少女たちも驚いているのか、軽いざわめきが起こる。
「はいはい! 皆さんのその気持ちはよーく分かります! 私も初めて研修に参加した時は皆さんみたいな反応してましたからね! ですが、元光導姫や元守護者の人は普通にいるんです。午前の座学で、神崎校長が言ってたと思いますが、レイゼロール率いる闇サイドとの戦いは数千年続いてますからね」
美希が体育教師らしいよく通る声で、そんな事を付け加えた。なお美希が再び発言した事により、ざわめきは収まっていた。もしかしたら美希の発言には、ざわめきを収める意図もあったのかもしれない。
「その辺りの事情はまた明日からの午前の座学で、僕たちに個人的な興味がある人たちはこの研修が終わってから質問に来てください。それでは、午後の研修についての説明を始めます。午後の研修、その内容は簡単に言うと、体力作りです」
「ああ・・・・・・・・終わった」
ざわめきが収まったところを狙ったように、海輝がそう発言した。海輝の体力作りという言葉を聞いた瞬間、明夜の隣にいた暗葉が絶望したようにそう言葉を呟いた。




