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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第438話 研修開始(3)

「――あー、もうお腹ペコペコだよ。でも、太っ腹だよね。研修に参加してる光導姫と守護者は昼飯代がいらないなんて。私、いっぱい食べちゃおう!」

「やめなさい、あなたのいっぱいは本当にいっぱいなんだから。昼食を作っている人たちが不憫でならないわ」

 時刻は午後12時。孝子から座学を受けた陽華と明夜は、扇陣高校の学食スペースに来ていた。

 今は昼休み。1時から研修の午後の部が始まると孝子に言われので、休みの時間はちょうど1時間ということになる。その間に、研修に参加している光導姫と守護者は腹ごしらえといった感じだ。そこら辺は普通の学校と何ら変わらない。

 そしていま陽華が言ったように、研修に参加している者は昼食代がタダになるなどの特典があるようだ。渡されたカード型の食券を見せればそれでいいらしい。

 そのほかにも、地方からやって来た光導姫や守護者には宿泊施設の無料提供、交通費の全額支給などの特典があるらしいが(孝子がそんな事を言っていた)、東京在住の2人には、そこら辺の特典はあまり関係ない。

「うわー、美味しそう! いただきますー!」

「どこの誰が昼飯にハンバーグとカツ丼とトンカツ食べるのよ・・・・・・・」

 明夜が呆れたような表情を浮かべる。結局、陽華はハンバーグ定食とカツ丼とトンカツ定食を注文した。注文を受け付けたおばちゃんが、若干引き気味だったのは気のせいではないだろう。

「明夜、午前の座学はどうだった? 私はメモ取ってたけど、けっこう難しかったからちょっと眠くなっちゃったよ。なんか、普通の学校の授業受けてるみたいだった」

「私もよ。光導姫と守護者の歴史やら、属性がうんたらこうたらとか、知っておいた方がいいことなんだろうけど、なんか私の性に合ってないのよね」

「――ほんま分かるで。ウチもどうもああいう話をずっと聞くんは性に合わんわ。やっぱり体張って動かしてこその光導姫やろ」

「「え・・・・・・・・?」」

 陽華と明夜が午前の研修について話し合っていると、どこからかそんな声が聞こえてきた。

 陽華の隣の席にコトリとカツ丼を乗せたトレーを置いたその人物は、驚いている2人に向かってニカリと笑みを浮かべた。

「どうも初めましてやな、ウチの名前は御上火凜おがみかりん。今回の研修に参加してる光導姫や。以後、よろしゅうに」

 陽華と同じくらいの髪の長さ、人懐っこいような笑顔、関西弁が特徴のその少女はそう自己紹介をした。

「あ、初めまして。私は朝宮陽華って言います」

「月下明夜です。その特徴的な話し方を聞くに・・・・・・・関西の方かしら?」

 陽華と明夜は突然の火凜の自己紹介にそう言葉を返した。普通の人間、例えば影人などは火凜の唐突な自己紹介に戸惑ったかもしれないが、そこはコミュニケーション力が非常に高い2人だ。2人は戸惑はずに、自身も自己紹介をした。

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