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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第437話 研修開始(2)

「では、早速本題に入らせて頂きます。拙速と思われるかもしれませんが、歳の離れた人物の長い前置きほど退屈なものはないでしょうから」

 孝子は一言そう前置きすると、言葉通り早速本題に入った。

「ここに居られる皆さんは、当校に所属していない、かつ今年に光導姫・守護者になられた方々です。そういった方々には、毎年この時期に研修を受けていただく事になっています。その理由は、皆さんに強くなっていただくため。そして・・・・・・・皆さんの命を保持する確率を高めるためです」

「「っ・・・・・・・・・!」」

 孝子のその言葉を聞いた会議室にいる少年少女たちの空気が、明確に引き締まった。もちろん、陽華と明夜もその表情を半ば無意識に引き締めた。

「近年は光導姫も守護者にも死亡者はいません。ですが、過去には闇奴や闇人との戦いで命を落とした光導姫や守護者もいました。もちろん、皆さんと同じ歳、それに近しい歳の者たちがです」

 表情を真剣なものに変えた孝子の声だけが、会議室に響く。光導姫や守護者には死亡者がいる。そのある意味当然の事実を、陽華と明夜はショックを受けたような表情で受け止めた。

「皆さんはもう闇奴との戦闘を経験した身でしょう。中には、闇人と戦った人もいるかもしれません。そして、皆さんの戦う理由は様々でしょう。皆さんは、その理由のために命を賭けている。そんな皆さんに、私は最大級の感謝の念と尊敬の念を抱きます」

 孝子はもう1度会議室に集まった少年少女たちにお辞儀をすると、こう言って挨拶を締め括った。

「この研修は、そんな皆さんの為になる事だと私は自負しています。以上で光導姫・守護者の学校の長としての挨拶、目的提示は終わりとさせていただきます。ご静聴、ありがとうございました」

 孝子がそう言い終わると、パチパチと拍手の音が鳴り響いた。陽華と明夜を含む光導姫・守護者の少年少女たち全員が、孝子に大きな拍手を送った。

「それでは、研修を始めましょう。研修は主に午前の部と午後の部に分かれています。今から行うのは、午前の部の座学です。この座学では、皆さんに光導姫・守護者に関する様々な知識を学んでいただきます。メモを取りたい方は前方に紙とペンを用意していますので、それらをご利用ください」

 孝子が壇上の横に目を向ける。そこには簡素な机が置かれており、孝子が言ったように白紙の紙の束とペンが用意されていた。

「私達は大丈夫だね。紙とペンは持ってきておいたし」

「備えあれば憂鬱なしね。・・・・・・・・あ、私忘れてるわ。ちょっと取りに行ってくる」

 持ってきていた鞄を物色していた明夜が、うっかりしたという感じでそう言った。

「ええ・・・・・・・・なんかやっぱり明夜って感じだね。あと、憂いなしね。憂鬱じゃなくて」

「どっちでもいいじゃない。どうせ似たような意味でしょ」

 明夜は軽く笑みを浮かべると、他の何人かの光導姫や守護者と同様に前方へと足を運んだ。

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