第428話 呪術師系生徒会長の実力(6)
「分かった、分かったから落ち着け! 後、何が色々気になるお年頃だ! お前そんな歳じゃねえだろ!? 明らかな言葉の誤用だ!」
ソレイユの念話に影人は肉声でそう叫んだ。何をさらりと自分を若くしようとしているのか。
『あ、ひどいです! 私はそーいうお年頃なんですー!』
「ガキかてめえは!? 若造りのババアがキツいんだよ!」
『なっ・・・・・・・!? さ、流石の私も今の言葉にはキレました! 影人ぉー! 説教です!』
「知るかアホ女神! 誰がお前の説教なんか聞くか!」
いつも通り、と言えばいつも通り、前髪野朗とポンコツ女神はギャーギャーと言葉を交わした。
・・・・・・本題の話はというと、それから15分ほど後にようやく話され始めた。
「助っ人助っ人・・・・・・・・・あ、そうだ! あの子がいるじゃない! ふっふっふっ、会長命令って事で、召集かけちゃおう!」
影人が帰り、自分の部屋でその事について考えていた真夏は、自分の後輩のある人物の事を思い浮かべると、スマホでその人物にメッセージを送った。
「これでよしっと・・・・・・・予定が入ってたら残念だけど、あなたなら応えてくれると信じているわ。――副会長!」
「――ん? これは・・・・・・会長からのメッセージ? いったい何だろう・・・・・?」
自分の部屋で夏休みの宿題に取り掛かっていた、風洛高校生徒会の副会長――香乃宮光司はスマホの画面をタップすると、生徒会長である真夏からのメッセージに目を通した。そこには真夏から明日予定がなければ、自分の家の倉掃除を手伝ってほしいという旨の内容が書かれていた。
「ははっ、この唐突ぶりは会長らしいな。明日か、確か予定はなかったはずだし、手伝いに行ってもいいかな。先輩の力になれるのは、嬉しいし」
真夏の性格をよく知っている光司は、苦笑を浮かべながらも了承のメッセージを返信した。ちなみに、光司の先輩の力になれるのは嬉しい発言は、真夏の事が恋愛的に好きだからなどといった意味合いではなく、そのままの意味である。この男、やはりあまりに人間が出来すぎている。
光司が了解の返事を送ってすぐに、真夏からメッセージが返ってきた。そこには、感謝を伝える言葉と明日真夏の家を訪問してほしいという時間が記されていた。
「明日の12時か。会長の家は前に1度訪ねて知っているし・・・・・・・・・って、え?」
メッセージを最後の行までスクロールした光司は、ついそんな声を漏らした。
そこには、真夏以外に倉掃除をするメンバーの名が書かれており、真夏の姉であり風洛高校の教員でもある紫織の名前と、ある男子生徒の名前があった。
「帰城くん・・・・・・・? 何で君の名前が・・・・・・・」
そこに書かれていた男子生徒の名は帰城影人。ぶっきらぼうだがどこか優しい、光司が友人になりたいと願っている生徒の名前であった。




