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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第427話 呪術師系生徒会長の実力(5)

「――よし、とりあえず今日はここまでにしましょうか。もうかなり暗くなってきたし。帰城くん、今日は本当にありがとうね。かなり助かったわ!」

 日も落ちてきて周囲が暗くなり始めた頃、倉の前に立った真夏はそう宣言し、影人に礼を述べた。その顔は疲れているだろうに、弾けるような笑顔だ。

「なら良かったです。じゃあ、俺は今日はこれで失礼しますね会長。また明日」

 一方、影人はその真夏のように元気いっぱいとはいかず、疲れたように笑みを浮かべた。倉掃除に、予定外の坂ダッシュはモヤシの自分にはかなり堪えた。

「ええ、また明日。と言っても、流石に3人じゃ日曜に終わるか怪しいわね・・・・・・私も誰か助っ人を呼ぼうかしら。でも、うーん。いったい誰を呼べば・・・・・・・・・」

 影人の別れの言葉に笑顔で手を振った真夏は、ブツブツと何かを呟きながら1人思考していた。そんな真夏の邪魔をしないためにも、影人はそそくさと榊原家の出入り口を目指し歩き始めた。

「あー、帰城。今日はサンキューな。おかげでかなり助かった。やっぱり持つべきものはカモだな」

「えげつないまでのクズ発言っすね・・・・・・まあ、俺のカンニングの件黙ってもらってるんで何も言えないっすけど」

 通用門の鍵を閉めるからといった理由で、紫織が影人と共に敷地内を歩く。真夏からある程度離れた事もあり、2人はそんな言葉を交わした。

「そういうこった、お互い持ちつ持たれつで行こう。それが社会ってもんだ帰城」

「清濁併せ持つってやつですか。まあ、そっちの方が生きやすいっすからね」

 紫織の言葉に賛同しつつ、影人は軽く笑った。影人は理想も正義というやつも持ち合わせていない、ただの一般人だ。ゆえに紫織の意見はよく分かる。

 ちなみに、影人が併せ呑むと言わなかったのは、その言葉の意味が「寛大な心を持つ、器が大きい」といったものだからだ。弱みを握って自分を利用した人物がそのような人物ではない事は確かだろう。

「物分かりのいい奴は好きだよ。――じゃあな帰城。また明日も頼む」

「分かってますよ。じゃあまた明日、先生」

 榊原家の通用門で別れの挨拶をして、影人は通用門の近くに止めておいた自転車に乗った。影人が自転車を漕ぎ始めた時点で、通用門は閉じられた。影人は門が閉じられた音を聞きながら、坂道を下る。

「・・・・・・・・しっかし、会長が光導姫でランキング10位だったとはな。毎度思ってる気がしないでもないが、世の中何が起こるか分からんもんだ」

 しかも『呪術師』、「呪い」の力を扱うという極めて珍しい光導姫。今日は色々と驚いた。なんだかファレルナに出会った時を思い出すような感じだ。

『影人。もういいですよね? 私かなり待ちましたよ、ええそれはもうよく待ちました。だから、早く教えてください! 私は色々気になるお年頃なんです!』

 影人が坂を下っていると、ソレイユがそう念話をしてきた。昼頃から随分と待たせた事もあって、ソレイユはご機嫌斜めである。

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