第426話 呪術師系生徒会長の実力(4)
「ふぅ、一仕事完了。後はこの気を失っている男の人をそこらに座らせてっと・・・・・・全く、正義の味方も楽じゃないわ」
真夏は闇奴化していた人間を介抱すると、そんな言葉を呟いた。一見疲れていそうな言葉であるが、真夏はどこかドヤ顔気味というか、満更でもない様子であった。
(正義の味方が呪い使うのかよ・・・・・・・・・つーか、技名もえらくえげつない名前だな。戴天禁じって、意味としちゃ「この世に生きている事を禁じる」ってもんだろ。まあ、結果としちゃ浄化したが)
真夏の言葉を聞き、戦いを観察していた影人はそんな事を思った。ソレイユの話を聞き、その辺りの事は理解したが、やはりというかギャップがある。もっと率直に言えば、やっぱり矛盾しているように思える。それほどまでに、「呪い」=負・闇などといったイメージが強すぎる。
「さて、私も早く戻らないと。帰城くんとお姉ちゃんも待ってるだろうし。うーん、これからまた倉掃除だと思うと気が滅入るけど、そこは気合いよ私! 生徒会長はガッツが大事!」
真夏は自分で自分を鼓舞し、パンと自分の頬を叩いた。そして、変身を解除する。真夏の服装が、制服姿に戻り、紙の髪飾りが真夏の髪に装着される。
「さあダッシュよダッシュ! にしてもクソ暑いわ! 格好つけて制服着なきゃよかった!」
1人で愉快にそう叫びながら真夏は駆け出した。途中、影人の隠れていた電柱を横切ったが、真夏が影人に気づく事はなかった。なぜなら、真夏が変身を解いた時点で、影人は近くの路地に隠れ場所を移していたからだ。
「相変わらず、元気が服来たような会長だな。いったい、どっからあんな元気が湧いてくるんだ・・・・・・・・」
『確かに、彼女は陽華や明夜にも負けず劣らずの元気少女ですからね。それより、影人。そろそろ話してください。なぜあなたが『呪術師』の戦いの場にいたのかを。今回、私はあなたに合図を送っていませんでした。なのに、なぜあなたはあの場に?』
影人が路地の陰から真夏の後ろ姿を見ていると、再びソレイユが念話をしてきた。ソレイユのその質問は影人が先ほど答えると言っていたものだ。
「ああ、その事だが・・・・・・・悪いな、ソレイユ。俺も倉掃除に戻らなきゃ色々マズイんだ。だから、また終わったら理由を話す。つーことで、また後でな!」
『く、倉掃除? それと「呪術師」に何の関係が・・・・・って、影人!? 後で話してくれる言ってたじゃないですかー!』
「だから後だろ! じゃあ、しばらく念話してくるなよ! つーか坂ダッシュしなきゃならんのか・・・・・・・・・ええい、南無三!」
軽く文句を言うソレイユにそう言葉を返し、影人は坂の上の榊原家に向かって自身も走り始めた。




