第425話 呪術師系生徒会長の実力(3)
(ま、合点がいったぜ。でも、俺の場合は本質が闇だから闇の力になったってわけだ。なら、俺の性質は何だったんだ? とりあえずだいたい何でも出来るから、逆にわからないんだよな)
影人が自分がソレイユに力を与えられた時の事を思い出しながら、そんな事をソレイユに聞いた。
ちなみに、この本質云々の談義は影人が自分の精神世界に行きイヴに言われた事の受け売りだ。そういった事情もあり、影人は今のソレイユの話を素早く理解出来たという側面もあった。
『ええと、あなたの場合は本当に色々と特殊ですから・・・・・・・・・・その、私もあなたに関する事は、はっきり言って分かりません。だから、その質問には答えられないんです。すみません』
申し訳なさそうな声音でソレイユはそう言った。そのソレイユの言葉に、影人は意外にもあっさりとした感じで引き下がった。
(ふむ、そうか。分からないもんは仕方ないな。そもそもの質問の答えは得られたわけだし。さて、んじゃあ力の正体も分かった事だし、観察に戻るか)
影人はソレイユとの念話に回していた集中力を、再び闇奴と真夏の戦いの観察に戻した。
「――そろそろ幕引きにね。呪い終わりましょう」
「クシュ・・・・・・・」
影人がソレイユとの念話に集中していた時間は2分ほど。会話の量の割にはかなりの短時間だ。しかし、その短時間の間に戦いは終局になっていた。
全身に右腕に貼られていた呪符と同じ呪符を貼り付けられていた闇奴は、体を動かすことが出来ないのか、地面にへたり込んでいた。対して真夏は涼しい顔で蝙蝠扇を広げ、その扇で自身を扇いでいた。
(呪い・・・・・・・現象として見るだけなら、敵の弱体化、デバフみたいなもんか。もし戦うとなったら厄介だな。まあ、呪いの解釈ってやつはまだまだあるんだろうが・・・・・・)
意識を少し冷たいものにしながら、影人はそんな事を考える。自分の立場上、もしかすれば影人は真夏と戦う事もあるかもしれないのだ。ならば、その能力を観察する事は自分にとって、値千金の情報となる。
「――呪を以て闇を祓う。嗚呼、我が呪よ、彼の者を呪い給え呪い給え」
真夏の蝙蝠扇に書かれていた墨字の文字が妖しい輝きを放つ。真夏はその扇を地に伏せる闇奴に向かって、軽く扇いだ。
「呪風、戴天禁じ」
一陣の風が、闇奴に吹いた。
「クシュ? シュ、シュラ・・・・・・」
闇奴に吹いたのは、果たしてただの風ではなかった。なぜならば、その風を受けた闇奴は息絶えたように何の反応もしなくなったからだ。
そして、闇奴は光に包まれ人間へと姿を変えた。




