第423話 呪術師系生徒会長の実力(1)
「さあ、まずはこれでも喰らいなさいな!」
真夏が左手で右の袖から紙の札のようなものを3枚ほど取り出した。真夏はその紙の札を闇奴に向かって飛ばした。
「それっ!」
真夏の飛ばした札はまるでそれ自体が意思を持っているかのように、真っ直ぐに闇奴へと向かう。
「クシュラ!?」
闇奴は自分に向かって飛んでくる札に驚いたのか、右腕の剛腕を振るった。
だが、不思議な事に札はひらりと闇奴の一撃を避けると、闇奴の右腕に張り付いた。
「あら、張り付いちゃったわね。あーあ、残念ね。あなたの右腕、もう使えないわよ」
真夏はニヤリとした笑みを浮かべ、闇奴にそう宣言した。
「クシュ! ――シュラ!?」
闇奴が怒ったような声を上げる。しかしその瞬間、闇奴の右腕はだらんと力なく地に向かって下がってしまった。
それは真夏の宣言が正しいという事を証明するかのような光景だった。
(・・・・・・・どういうカラクリだ? 闇奴の右腕が急に筋が切れたようにだらんと下がった。会長の言葉を聞く限り、会長があの札を使って何かしたんだろうが・・・・・)
電柱の陰から戦いを観察していた影人は、真夏が何をしたのかを分析しようとした。
(ダメだ、流石にこの材料だけじゃ分からん。しゃあねえ、知ってるやつに聞くか)
しかし、真夏が何をしたのかは影人にも分からなかった。そこで、影人はある人物に真夏の事を聞いてみようと、心の中でこう呟いた。
(おい、ソレイユ。珍しくお前の知識のお披露目の時間だぜ)
『――影人? 何ですか急に・・・・・? というか私の知識、ですか?』
影人の念話に、光導姫を統括する存在でもあるソレイユが応えた。ソレイユは影人の突然の言葉の意味が理解出来なかったようで、そんな言葉を返して来た。
(おう。まあ理由は後で話すから、とりあえず俺の視覚を共有してみろよ)
『視覚をですか? まあ、分かりましたけど・・・・・・・』
理由が分からないまま、ソレイユは影人の視覚を共有した。すると、驚くような光景がソレイユの視覚に映し出された。
『闇奴? ってあの光導姫は私がついさっき合図を送った「呪術師」じゃないですか!? というか、何であなたがそこにいるんですか!?』
影人の予想通り、ソレイユはかなり驚いたような様子だ。そんなソレイユに影人は「理由は後で話すって言ったろ」と、ソレイユの疑問を無視してある言葉を述べた。
(それより会長・・・・・あの光導姫、『呪術師』だったな。その能力について教えてくれ。観察してるがはっきり言って、今のところどういった能力なのか分からん)
影人がソレイユに念話をした理由。それは真夏の能力がどういった能力なのかを聞きたかったからだ。
影人の漏らした会長という言葉に、ソレイユは『会長?』と疑問を抱いた様子だったが、とりあえずソレイユは影人の質問に答えるべく、『呪術師』がどういった能力を有しているのかを教えた。
『・・・・・・色々気になる事はありますが、あなたの質問に今は答えましょう。光導姫ランキング10位「呪術師」、彼女が扱う能力は「呪い」と呼ばれる力です』
(呪い・・・・・だと?)




