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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
420/2051

第420話 生徒会長は呪術師(3)

「てな感じで、口癖が『呪うわよ』になっちまったんだよ。お前も風洛の生徒なら何回か聞いた事あるだろ?」

「はい、風洛ウチの生徒会長と言えばその言葉ですから。でも・・・・・・へえ、そういった背景があったんですね」

 真夏の「呪うわよ」という言葉は、風洛の生徒ならば1度は聞いた事のある言葉だ。ただ、この言葉は今のように怒りを発した時だけに使われる言葉ではない。

 例えば真夏は今年の夏休みに入る前の全校集会で、「今年の夏休みも各自勉学に励み楽しみなさい。じゃなきゃ、呪うわよ?」と言っていた。ここでいうこの言葉は、冗談めかした意味合いに使われている。

 つまり、真夏の「呪うわよ」という言葉は様々な意味合いで使用される。本気で恨みを抱いたからそういった言葉を言うのではなく、それが口癖なのだ。

「そういうこった。悪かったって真、後でアイス買ってやるからその恨めしそうな目をやめてくれよ」

 真夏は先ほどから怒ったような恨んでいるような目を、紫織に向けていた。まあ食べ物の恨みは恐ろしいと言う。その言葉に従えば、真夏の怒りと恨みは相当なものだろう。

「・・・・・・・・・・高いアイス買ってもらうから」

 紫織の言葉に、真夏はポツリとそう言葉を漏らした。真夏のその呟きを聞いた紫織は、そのやる気のなさそうな目を軽く見開いた。

「げ、ハーゲンかよ・・・・・・・私が安月給なの知ってるだろ? もうちょい手加減をだな・・・・・」

「いーや。元はと言えばお姉ちゃんが悪いんだから。絶対にそれ以外認めないから」

 紫織のお願いも虚しく、真夏は新たに物品を運ぶべく倉の方へと向かっていった。どうやら、紫織が高いアイスを買う事は確定したようだ。

「くそ、欲望に負けてパン食わなきゃよかった・・・・・・・・・」

「自業自得っすね。まあ俺もそれが原因でここにいるんで、先生のこと言えないっすけど」

 ガックリと肩を落とす紫織にそんな言葉を言いながら、影人も倉へと向かった。影人も出来ればこんな面倒な事は早く終わらせたい。ならば、手を足を動かす事が唯一の方法だ。

 影人は汗を流しながら、倉掃除に励んだ。












「ここらでちょっと休憩しましょうか。もう2時間くらいは動きっぱなしだし。帰城くん、お茶はいる? 麦茶だから熱中症対策になるけど」

 もはや紫織に代わって倉掃除のリーダーに成り代わった真夏がそう宣言する。真夏のその休憩宣言に影人と紫織は了承の旨を伝える返事をした。

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