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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第42話 邂逅せし光導姫たち(4)

正面から光司の顔を見たアカツキは素っ頓狂な声を上げた。その声に光司はキョトンとしたような表情になり、陽華と明夜は心配そう声でアカツキに声をかけた。

「あ、あのどうしたんですか?」

「何かおかしなことでも・・・?」

 2人に声を掛けられたことで、アカツキはハッと我に返る。いけない、このままでは自分に様々な不信感が持たれる。

(ま、まさかあの香乃宮光司が守護者だったなんて・・・・・・!)

 しかも10位。それではかかしが言っていたフェリートと戦ったのは光司だったというわけだ。

(ダメだ! さっさと切り替えないと!)

 確かに自分の通う風洛高校の有名人、香乃宮光司が守護者だったことには驚いたが、それはそれだ。なにせ、光導姫と守護者は世界中に存在しているのだ。ならば光司が守護者であっても何らおかしくはない。

「い、いやすまない。ちょっと虫が見えてね。僕は虫が苦手なんだ」

 自分でも苦しいとわかる言い訳をしつつ、アカツキは「あはは」と苦笑いする。そして強引に話の流れを変えようと、自己紹介を行った。

「あ、改めて僕は――は? はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 しかし、自己紹介は、またしても自らの驚きの声によって妨げられた。

 光司と同じように近くから顔を見ることによって、アカツキはようやくわかったのだ。

 2人が光司と同じように風洛高校の名物コンビである朝宮陽華と月下明夜であることに。

(おいおい冗談だろ!? この2人光導姫だったのか!?)

 またしてもいきなり素っ頓狂な声を上げたアカツキに陽華と明夜はさらに不安そうな顔に、光司も何か疑うような顔になる。

 しかし、今回ばかりはアカツキも中々切り替えることができない。

 まさか自分と同じ高校に、自分以外に光導姫と守護者が合計3人もいるとは考えていなかったアカツキだ。しかもその人物たちが、風洛高校で知らぬ者はいない有名人と名物コンビときている。アカツキと同じ立場なら驚くなというほうが無理があるだろう。

(・・・・というか原則的に光導姫と守護者は()()()()に所属しなきゃいけないはずなんだけどな)

 一周回って冷静さを取り戻したアカツキはそんなこと考える。しかし、それは原則であって強制ではない。現に自分もそうなのだから。

「ッ――!?」

 そして冷静さを取り戻したアカツキは何者かに見られているような視線と気配を感じた。

 振り返り、油断なく周囲を見回す。これはアカツキの勘でしかないが、視線は遠く離れたあの橋から感じたように思う。アカツキが重点的その橋の辺りを詳細に見るが、結界が展開されているので当然人の姿はない。

「・・・・・・気のせいか?」

 確かに視線を感じたと思ったのだが、どうやら自分の勘違いだったようだ。

「・・・・・・・あの、さっきからどうかしたんですか?」

 今のところ、いきなり奇声を上げたり奇妙な行動しか取っていないアカツキに、陽華が心配というよりかどこか「この人大丈夫?」的な表情でそう声をかける。

 そしてそんな表情を浮かべているのは陽華だけではない。明夜もだ。光司だけは紳士だからかそのような表情を浮かべていないが、内心はわからない。

(こ、これって、いつも影人がされてるような顔じゃないか・・・・・・!)

 それがアカツキにはいや暁理にはとてつもなくショックだった。

 暁理は自分の友人が変わっていると思っているし、実際その友人、帰城影人は変わっている。しかし、暁理は自分が変わっていると思ったことはほとんどない。

 ゆえにこのような顔をされるのは大変不本意だった。

「いや本当にさっきから変な行動ばかりでごめんなさい! 実は――!」

 暁理は頭の中で凄まじいスピードで先ほどの自分の行動に対する言い訳を考えた。

 その結果、もう頭の中からは先ほど感じた謎の視線のことは忘れ去られていた。








「・・・・・あぶねえ」

 一方、アカツキが感じた謎の視線の主スプリガンは帽子を押さえながら、橋の歩道の上に設置された真っ黒な弾力性のある不思議な物体の上で横になったいた。

「ギリギリだったぜ・・・・・・」

 兎型の闇奴と謎の光導姫が現れ、監視を続行していたスプリガンだが、あわや自分の存在が謎の光導姫にバレそうになったのだ。

「しっかし、なんつー勘してやがる」

 スプリガン時の動体視力でなんとか、あのフードの光導姫が振り向くことを直前の動作から予測したため、アーチの頂点から背中から倒れるように落下した影人。そのため、アカツキが振り向いた時にはスプリガンの姿は見えなくなっていたというわけだ。

 しかし、当然そのままでは頭から落下して影人の頭はオシャカである。ゆえに影人はスプリガンの闇の力による物質創造能力を使い、いま自分が横たわっているこのマットのようなものを創造したのだ。

「・・・・・あいつら以外の光導姫を見るのは初めてだな」

 この距離なので会話はもちろん聞こえなかったが、闇奴を浄化したことからあのフードの人物が光導姫であることは間違いない。

 まあ、見たといってもあの光導姫はフードを被っていたし、その素顔などは全く見れなかったが。

「どんな奴なのかね・・・・・」

 まあ、見ていた限り随分と変わった行動をしていたので、かなりヤバイ奴だろう。そして、光導姫なのだからお人好しなのだろう。

 そんなこと考えながら影人はしばらくスプリガンのまま、五月晴れの空を見上げていた。


 その頃、影人にヤバイ奴認定された光導姫アカツキは必死に3人に弁明していた。

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