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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第416話 生徒会長、現る(4)

「そりゃ面倒くさいさ。本音を言うなら休み潰してまで倉掃除なんかしたくはない。だが、やらないと母親と祖母がうるさくってな。しなきゃ家から出て行かされるからやらなきゃならん。ついでに、売れる物ももしかしたら出てくるかもしれないだろ。あったら酒代とつまみ代にするんだよ」

「さいですか・・・・・・やっぱりいつも通りの先生っすね」

 保身と打算に塗れた理由を聞かされた影人は、心の底から納得した。なんとも紫織らしい行動理由である。

 そんな事を話しているうちに、2人は家の裏側にやって来ていた。影人の目の前に紫織が言っていた大きな倉が姿を現した。

「ここが今日から掃除をする倉だ。まあ見た目からも分かる通り、倉の中はかなり広い。今日から日曜までに掃除を終わらせる予定だが、欲を言えば明日で終わらせたい。というわけで帰城、頑張ってくれ」

「いや先生も頑張るんですよ? 何を俺だけやるみたいになってるんすか」

「ちっ、やっぱりダメか」

 さりげなく掃除をサボろうとする紫織に釘を刺す。全く油断も隙もあったものではない。

「あ、そうだ。結局助っ人って誰なんすか? ご家族の方とかですか?」

 倉掃除にはもう1人加わる。紫織のメールに書かれていた事だ。その人物に関する情報は何も書かれていなかったので、影人は当たり障りのない予想の言葉を述べた。

「あー、まあ家族だよ。というか()()()()()()()。手伝うのは、あいつ。私の妹だ」

「え、それって風洛ウチの――」

 紫織の答えに驚いた影人が言葉を紡ごうとした時、どこからか第3者の声が聞こえて来た。

「お姉ちゃん、私の菓子パン知らない? 机の上に置いてたんだけど――って、その男の子誰? 風洛ウチのジャージ着てるって事は風洛の生徒?」

 声がしてきた方向は家の縁側の辺りからだった。紫織と影人は振り返ってそちらに顔を向けた。すると寝間着のようなラフな格好をした1人の少女が縁側に立っていた。

 整った顔に暁理より少し長いくらいの髪。そしてその髪には、特徴的な紙の髪飾りが飾られていた。本来はもっと溌剌はつらつとしているその目は、寝起きなのか寝ぼけ眼なようにうつらうつらとしている。

 紫織はもちろんこの家の人物でもあるから、少女の事は知っている。だが、その少女の事は影人も知っていた。

「せ、生徒会長・・・・・・・・」

 なぜなら、その少女は影人の通う風洛高校の生徒会長にして、影人の横にいる紫織の妹、榊原真夏(まなか)であったからだ。

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