第410話 夏だ、補習だ、クソッタレ2(3)
一瞬、笑顔のままフリーズした3人は次の瞬間鬼のような形相を浮かべていた。
「「「やるってか!?」」」
先ほど笑っていた姿はどこへやら。3人のアホ共は拳を握りしめていた。
「てめえらも大差ねえじゃねえかアホ共。トッ◯VSポッ◯ーVSプリ◯ツVSダーク◯イなんてクソ映画もいいとこだ。やめろやめろ」
「「「痛えッ!?」」」
AはBとDの時同様、3人の頭にゲンコツを食らわせて鎮静化を図った。やり方が蛮族のそれである。
「全く俺以外アホしかいなくて困るぜ」
Aがフッとした笑みを浮かべる。その笑みにカチンと来た5人は怒りの鉄拳を握りしめ、Aの頭に拳を降らせた。
「「「「「てめえもアホだろうがッ!」」」」」
「痛えッ!? ちょ、お前ら5人同時はやめろッ! 頭蓋骨陥没するかと思ったぞ!? これ以上アホになってくれたらどうしてくれる!?」
「知るかバカ! バカスカゲンコツしやがって!」
Bがぬいぐるみを抱えながら吠えた。不意打ち気味にゲンコツをされたものだから、頭は今でもズキズキと痛む。
6人がいるのは風洛高校から徒歩20分くらいにあるゲームセンターだ。テンションが学校の時よりバグっているように見えるのは、学校外という事もあり、テンションのリミットが外れているからか。
「本当なら俺らアホ6人でプリクラ撮りたかったが・・・・・・悲しいかな。今の時代プリクラは野朗だけじゃ入れないんだよな」
「な、男だけで入れるプリクラもあるらしいが、ここはなさそうだし。まあ、仕方ないな」
「今度野朗だけで入れるプリクラ設置してるとこ探しとくわ。たぶん都心の方になりそうだけどな」
C、D、Eが軽く涙目なAを無視してそんな事を話し合う。野朗でもプリクラは撮りたいのである。
「次どうする? まあまあいい時間だし、そろそろカラオケでも――って、ん?」
Fがそう言おうとした時だった。Fの視界にどこか見覚えのある人物が映ったような気がした。
「おい、お前ら。あれって・・・・・・・・・・前髪くんじゃねえか?」
「「「「「え?」」」」」
Fの指摘に5人は驚いたような声を漏らす。Fの見ている方向に5人も顔を向けた。
すると、前髪に顔の半分が覆われた1人の少年が半袖短パンの夏らしい姿でアーケードゲームを見渡していた。あの特徴的な前髪の長さは間違いない、前髪くんである。
「まじか、まさかこんなとこで出会うとは・・・・・・・やはり俺たちの道は、交叉する道だったようだな」
「ああ、俺たちはきっと魂で結ばれているのさ。どうする、声かけるか?」
未だに軽く頭をさすりながら、Aがしみじみといった感じでそう呟いた。Aの言葉に同意するように頷いたBが周囲のアホ共にそんな提案をする。つまり自分たちと遊ばないかと誘うという事だ。




