第407話 夏だ、補習だ、クソッタレ1(6)
「そう言えば野郎ども。彼女のいないお前らに聞くが、お前らはウチの高校だとどんな子が好みだ? 答えろよ」
Aが話の種がてらそんな話題を振る。そのAの話題に最初に食いついたのはBだった。
「勝手に彼女いないって決めつけんなアホ。どうせお前もいねえだろうが。俺はそうだな・・・・・なんだかんだ朝宮さんとかかな。可愛くて明るくて、何より笑顔が素晴らしい」
「お、Bは朝宮さんが好みか。確かにあの誰隔てない明るさはいいよなー。でも俺は月下さん派かな」
「分かるぜC。見た目クールビューティーなのに、俺らと大差ないポンコツ具合。あのギャップがたまらねえ」
「おいおい、D。ギャップを語るなら早川さんもだろ。見た目男子っぽい僕っ娘。最高に萌えるじゃねえか。絶対女の子っぽい服装したら可愛いぜ。まあ、制服のズボン姿でも可愛いけどよ」
「そういやEの言った早川さんで思い出したが、あの前髪くんよく早川さんといるよな。もしかして付き合ってんのかな?」
Fが言った前髪くんというのは、言わずもがな影人のことだ。だが、6人は影人の名前を知らないので影人の特徴から前髪くんと呼んでいた。
「そうだったら羨まけしからんぶっ殺したいが、どうだかな。早川さん女子からも人気高いしそういった噂があるなら、もうとっくに広まってると思うぞ?」
「確かにそうだな・・・・・・じゃあ前髪くんは無罪って事だな」
「流石は俺たちの中で唯一偉業を成功させた勇者だぜ。やはり俺たちは魂の友だ」
「うむ。誇るべき我らの盟友だな」
「ああ、彼は見た目こそ地味だが漢だ」
Fの言葉から影人の話題に移ったA、B、C、D、Eは讃えるような言葉で前髪野朗に賛辞を送った。普段の影人ならば、嫌な顔をするのが普通だ。だが、あの前髪もどこかアホといえばアホなので、このアホ共の言葉を聞いていたら、フッと気色悪く笑みを浮かべながら喜ぶはずだ。間違いないと言い切れる。
それからワイワイと他の話題で盛り上がりながらも、6人は昼食を食べ終えた。トレーを返却口に戻して、6人は学食エリアから出た。
「あー、午後の補習だりぃな。欲を言えば、このままサボりたいぜ。でも、サボったら留年確定だからなー。さすがにそれは嫌だ」
「気持ちは分かる。このままゲーセンとかカラオケと洒落込みたい。エスケープからの地元遊び。これも学生の青春の1つだからな」
Aの嘆きにBがメガネをクイっと上げながらそう言った。賢そうな仕草だが、こいつは天才(笑)である。え、面倒だからもう地の文ではそう書かないんじゃなかったかって? うるせえ!
読者様に暴言を吐くゴミカス作者の事は銀河の彼方にロケットで飛ばすとして、Bの言葉に今度はCが反応した。
「んじゃあさ、補習終わったら6人で遊びに行こうぜ! ゲーセンもカラオケも行こう!」
「賛成だぜC。やべえ、そう思うとワクワクしてきた!」
「Dに同意だ。補習終わったら楽しい事があるって思うと、軽くやる気が出てきたぜ!」
「よーし、そうと決まれば気合入れていこうぜお前ら! えいえいおーだ!」
Fが右手を掲げた。そのFの仕草に残り5人も反応し、F同様右手を掲げる。
「「「「「えいえいおー!」」」」」
軽い約束をして、6人は午後の補習に臨むのだった。




