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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
396/2051

第396話 今はまだ(1)

「――久しぶりだな、響斬。大体100年ぶりか・・・・・・服装は随分と変わったな」

「お久しぶりです、レイゼロール様。服に関しては、まあこちらの方が動きやすいので」

 世界のどこか。辺りが暗闇に包まれた場所。自らの本拠地に戻ったレイゼロールは、石の玉座に腰掛けながら、自分のいない間に戻っていた響斬と顔を合わせていた。

「・・・・・・・ところでその顔はどうした? 左頬が随分と腫れているが」

「あはは、お恥ずかしい話ですけど冥くんと戦ってぶん殴られまして。お見苦しい顔で申し訳ありませんね」

 自分の腫れている左頬をさすりながら、響斬は軽く笑ってみせた。久しぶりに会うレイゼロールにこんな顔を見せるのは申し訳ないなと、響斬は本気で思っていた。そういう所は律義なのである。

「なるほど、そういうことか・・・・・・今のお前はまだ力を封じられている状態、そのままでは腫れが引くのも時間がかかるか」

 レイゼロールはそう呟くと、右手を前方に突き出した。レイゼロールの右手の先にいるのは響斬だ。レイゼロールと響斬との距離は6メートルほど離れているが、この程度の距離ならば、今から自分が使う力の射程圏内だ。

 レイゼロールの右手に闇が集まる。そしてその闇は響斬へと向かっていった。

「うわッ! い、いきなり何ですかレイゼロール様?」

「少しジッとしていろ。すぐに終わる」

 自分に伸びてきた闇に驚く響斬。そんな響斬にレイゼロールはいつも通りの冷たい声でそう言った。

 闇は響斬の左頬、そして腹部へと纏わり付くと溶けるように消えていった。すると、腫れていた左頬が、痛んでいた腹部の痛みが嘘のようになくなった。

「あれ? どこも痛くない・・・・・・ああ、なるほど。治癒の力を使ってくださったんですね。いやぁ、ありがとうございます! 実は我慢してただけでかなり痛かったんですよねー」

「ふん、話をしやすくしただけだ」

 感謝の言葉を述べる響斬に、レイゼロールは興味なさげに鼻を鳴らした。レイゼロールは腹部の怪我は知らなかったが、一応、全身のダメージを負っている箇所を指定して治癒の力を使ったので、響斬が言っていなかった腹部の怪我も治癒したようだ。まあ、レイゼロールの治癒の指定範囲は間違っていなかったという事になる。

「さて、ではそろそろ本題に入るか。お前を呼び戻した理由についてだ。少し長くなるがいいな?」

「はい。結局冥くんが教えてくれなかったので、聞くのけっこう楽しみなんですよね。お聞かせください」

「? 分かった。ならば話そう――」

 冥が結局教えてくれなかったという箇所の意味はレイゼロールには分からなかったが、レイゼロールは響斬に呼び戻した理由について話した。

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