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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第389話 第7の闇の帰還(5)

「確かに、100年くらい前のぼかぁ君と同じで戦いだけが生きがいの奴だったよ。でもね、冥くん。それは他に娯楽があんまりなかったからだよ。けど、今は違う。たった100年の間に現代には娯楽が湯水のように溢れるようになった。分かるかい冥くん? 僕は戦いに飽いちまったのさ。今の僕の生きがいは、漫画やらアニメやらゲームやらその他諸々の娯楽なのさ」

 そう、たった100年の間に全ては劇的に変わっていった。そしてそれは娯楽も含まれる。

 その100年の間に響斬という闇人も変わった。響斬が100年間ずっといた場所は、自分の祖国である日本だ。確かに7〜80年前は日本も戦争をしていたが、それから今に至るまでは、およそ平和だ。そして、そんな日本で戦いなどはもってのほかの行為であった。

 そういった状況から、響斬は代わりの娯楽を探し求めた。もちろん、響斬が日本にいた理由は祖国だからという理由ではなく、レイゼロールの探し物を見つけるため、またはそれに関する情報を得るためだったが、その最上位闇人本来の仕事はここ40年辺りサボっていた。その分娯楽に勤しんでいたからだ。響斬という闇人はそういった少し適当なところがあった。

「だから自分で言うのも何だけど、ぼかぁ今すっごく弱いよ。全く鍛錬もしてなかったからね。刀の手入れだけはしてたけど、それだけさ。だから戦うだけ無駄だよ。冥くんはどうせずっと鍛えてたんだろ? なら昔みたいにいい戦いにはならない。僕がすぐに負けて終わりさ」

 軽く笑みを浮かべながら、響斬はそう付け加えた。そう今の自分は、とても冥と張り合えるような相手ではない。その事は響斬本人が1番よくわかっていた。

「というワケで、その条件は呑めない。だから出来れば普通に教え――」

 響斬が言葉を紡ごうとしたその時、今まで黙って話を聞いていた冥がポツリとある言葉を呟いた。

「――真場(ヂェンヂァン)

 その言葉と同時に、冥の足元を基点として幾何学模様の円が展開した。

「え・・・・・・・?」

 真場が展開された事を理解した響斬は、訳がわからないようにそう声を漏らした。当然ながら、響斬は冥の真場、その効果を知っている。それは冥の許可がなければ、冥を倒す以外に逃げることが出来ない絶対の闘争場だ。

「冥くん、何で真場なんかを展開して――ッ!?」

 響斬が冥に視線を戻した時には、響斬の腹部を凄まじい衝撃が襲っていた。痛みを感じてから響斬は理解した。冥に腹部を殴打されたのだと。

「がっ・・・・・・!?」

 冥に拳を振り抜かれた響斬は、その衝撃から後方に吹き飛ばされた。普通ならば遥か後ろの岩壁に激突している衝撃だが、真場の範囲が狭かった事から、響斬は真場のふちの見えない壁のようなものに激突した。そのため第3者が見たならば、響斬は何もない空中にぶつかったように見えただろう。

「・・・・・・・・・・・響斬、お前なに腑抜けたこと言ってやがんだ? その体たらくはなんだ? 今の攻撃くらい、昔のお前なら余裕で反応してただろ?」

 発光する真場の幾何学模様に照らされた冥が、冷たく低い声でそう呟いた。今の冥の瞳に感情は何も浮かんでいない。怒りも呆れも全ては通り越してしまったからだ。

「ふざけやがって。それでも十闇第7の闇かよ。響斬、ボケたお前に俺がもう1回教えてやるよ。戦いってやつをな・・・・・・!」

 全身に闇を纏いながら、冥は響斬にそう宣言した。

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