第388話 第7の闇の帰還(4)
「あはは、そいつは無理だよ冥くん。僕たち闇人は光の浄化以外では死なないからね。だから僕と同じ闇人である君にぼかぁ殺せないよ?」
「んな事は知ってるよ! そんくらいボコボコにすんぞって事だ! ・・・・・ったく、そうだった。お前はそういう奴だったぜ」
どこかズレているというか、天然というか。響斬という闇人はそういった人物でもあった。ドジで天然でのんびり屋。こんな闇人は響斬しかいない。
「お前が最上位闇人になれたのが謎すぎるぜ・・・・・・・・・」
「ははっ、ぼかぁこんなんだけど色々とあったんだよ。まあ、それを言ったら大概の闇人はそうだけどね。あ、そうだ冥くん。結局僕たちが召集をかけられた理由って何だったんだい? 如何せん、レイゼロール様いないから理由が分からないんだよねー。僕より先にここにいるって事は、君はその理由を知ってるんだろ? よければ、教えてほしい」
今までの闇人たちと同じように、響斬も自分が呼び戻された理由を訊ねた。まあ、その訊ねた相手がレイゼロールではなく冥という点は違っているが。
「ああ、確かに俺は理由を知ってるが・・・・・・・・何か言うの面倒だな。レイゼロールが戻って来るまで、待ってろよ」
「ええー、それくらい教えてくれてもいいじゃないか。君は意地悪だな。ぼかぁ気になって気持ちが悪いんだよ。ねえ、いいじゃないか、教えておくれよー」
言葉の通り面倒くさそうな態度を取った冥に、響斬は食い下がった。そんな響斬を見た冥は再び呆れたような表情を浮かべる。
「ガキかよ・・・・・・・・しゃあねえ、教えて――」
冥が仕方なく理由を話してやろうと思った時、冥は唐突にある事を思いついた。
「・・・・・・いい事思いついたぜ。おい、響斬。お前に俺たちが召集された理由を教えてやる。ただし、条件がある」
「条件? いったい何だい?」
不思議そうにそう聞き返して来た響斬に、冥はニヤリと笑ってこう答えた。
「今から俺と戦え。ちょうど戦う相手が欲しかったとこなんだ。戦い終わったら理由を教えてやる。ルールはいつも通り何でもありだ。どうだ? 当然受けるよな?」
我ながら妙案だと冥は思った。響斬はこんな見た目をしているが、冥と同じく戦いが大好きな闇人だ。だから、間違いなく響斬はこの条件を呑むと冥は確信していた。
「えー・・・・・・・・嫌だよ、冥くん。戦いなんて面倒だし、何より痛いじゃないか。そんな条件は呑みたくない」
だが、響斬は冥のその条件をポリポリと頬を掻きながら断った。
「は・・・・・・・・・・・? 戦いが面倒? 痛い? おいおいおい、何言ってんだ響斬? お前頭がイカれちまったのか?」
冥は本当に意味がわからないといったような表情で、響斬を見た。冥には本当に意味が分からなかったのだ。響斬は冥と同じタイプの闇人だった。戦いが好き、というよりも戦いに取り憑かれていて、己が強くなる事に生きがいを見出していた人物だった。もっとも、響斬の場合はそれが剣の腕だったが、本質的には同じだ。
冥の言葉を受けた響斬は、少し面倒くさそうにこんな事を述べた。




