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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
366/2051

第366話 聖女来日5(5)

「っ・・・・・・・・!?」

 純真な瞳を向けてくるファレルナ。その問いかけは純粋に興味からだろう。

(全く、怖いものだな『聖女』は・・・・・・・)

 きっとこの問いかけは偶然のものだ。それは普通に考えればわかる。ファレルナはランキング1位。アイティレと同じくソレイユから手紙を受け取っている。だから、同じ手紙を受け取ったアイティレにそう聞いてみただけだろう。

 だが、日本に留学した真の目的を先ほど少し思い出していたアイティレからしてみれば、目の前の少女は人の真意を知っている裁定者のように思えてならなかった。 

 そしてちょうどその時、 

 生徒会室のドアが開けられた。












「――1回、聖女サマの反応を窺ってみるか」

「え?」

 ポツリと影人がそんな事を呟いた。そして、その呟きを聞いたソレイユは不思議そうな表情になった。

「いや、聖女サマはスプリガンに対してどんな反応をするのかと思ってよ。『提督』みたいに俺を敵とみなすのか、『巫女』みたく俺に和平的な提案でもしてくるか。光導姫の1位の反応に興味を覚えただけだ」

 場所は変わらず神界。2本目の棒状の菓子を咥えながら、影人は自分の呟きに対する理由をソレイユに説明した。

「反応・・・・・・・ですか」

「ああ、まあ個人的な興味だから流してくれても全然問題ないし、今から俺が提案する事を拒否してくれてもいい。一応、話だけ聞いてくれ」

 影人はそう前置きして、具体的な提案をソレイユに話した。影人の提案を聞いたソレイユは、思案するように顎に手を当てた。

「・・・・・・・・・・・・ふむ、なるほど。あなたの個人的な興味を別にしても、中々面白い提案だと思いますよ。ファレルナのスプリガンに対する反応は私も気になりますし。それに、ファレルナの反応を窺う事は8月の光導会議に対しての情報取得にもなります」

「・・・・・・なるほどな。確か8月の光導会議で、俺を敵とするか否かを決めるんだっけか。その際に、判断材料としてランキング10位までの意見を聞く、だったな。確かに事前に聖女サマの反応を知れるって言うのは一種のアドバンテージになるな」

 ソレイユの言わんとしている事を理解した影人がなるほどといった感じで頷いた。言われてみれば、そう言った見方も出来る。

「でもよ、ソレイユ。前も言ったと思うが、俺自体は敵認定を受けても全く構わないぜ? むしろ、そっちの方が俺的には楽だ」

「あなたのその姿勢は頼もしいものではありますが、私的にはまだあなたが光導姫と守護者から敵認定を受けるのは、出来るだけ避けたいんですよ。だから、もしファレルナがあなたに対して穏やかな反応を見せてくれれば嬉しいんですが」

 ため息を吐くソレイユに、影人は「そういうもんかね」と言葉を返した。まあ、ソレイユは自分を動かすポジションだ。色々と考えているのだろう。

「だが、下手に友好的な態度は取らないぞ。実際に聖女サマに接触するってなっても、俺は今まで通りのスプリガンを演じる。そこはいいな?」

「ええ、当然ですとも。ファレルナにだけ態度の違うスプリガンというのも変な話ですしね」

 少し真面目な顔で確認を取った影人に、ソレイユも頷いた。ソレイユから全ての確認と許可を得た影人はニヤリとその口角を上げた。

「はっ、はてさて聖女サマは黒衣の怪人にどんな反応をしてくるのかね。存外、楽しみだぜ」

 昨日会ったファレルナの姿を思い出す影人。そんな影人の様子を見たソレイユはジトッとした視線を向けてこう言った。

「・・・・・・・・・・・・どうでもいいですけど、そうやって笑うとあなた、悪役にしか見えませんよ」

「うるせえ、余計なお世話だ」

 こうして、影人はスプリガンとして再びファレルナに接触する事が決まった。


 ――その出会いはいったい何をもたらすのだろうか。

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