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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第359話 聖女来日4(3)

「ふふっ、何を言っているんですか。あなたもその善人でしょう? 昨日ファレルナにあなたは優しい人だと言われたじゃないですか。ファレルナだけではありません。少なくとも、私もそう思っていますよ」

「・・・・・・・・・・・けっ、お前も聖女サマも人を見る目がなさすぎるんだよ。善人と優しさは同義じゃねえし、俺は善人じゃない。そもそも、善人ってレッテルを貼られるのも好きじゃない。・・・・・・・・・スプリガンも仕事だからやってるだけだ」

 どこか悪戯っぽい顔をするソレイユに、影人は声を低くしてそう言った。どいつもこいつも、なぜ自分のことをそう思いたがるのか。

「まったく、あなたは素直じゃありませんね」

「ほっとけ。俺は誰よりも自分に素直なだけだ」

 呆れたようなソレイユに、影人は菓子を完全に噛み砕いてそう呟いた。












「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ! 明夜急いで! このままじゃ間に合わないよ!」

「分かってるわよ! ああもう! どっかの誰かがしえらさんの所でドカ食いするから、余裕があった時間がなくなったじゃないの!」

「それはごめんって言ったでしょ!? 仕方ないじゃない! しえらさんの作る物なんでもおいしいんだから!」

 お互いにそんな言葉を言い合いながら、陽華と明夜は朝の登校時のように道を駆けていた。

 現在の時刻は16時50分。あと10分ほどで、目的地である扇陣高校でとあるイベントが始まってしまうのだ。

 土曜日に光導姫ランキング1位である聖女が、今日扇陣高校を訪れ講演のようなものを行うと知った2人は、その場にいた風音に自分たちも聖女に会えないか、という半ば無理なお願いをした。自分たちが目指すランキング1位を1度この目で見たいと思ったからだ。

 2人のお願いを聞いた風音は、「校長に聞いてみる」と扇陣高校の生徒会長として2人の願いを聞いてくれた。光導姫とはいえ、陽華と明夜は他校の光導姫だ。拒否される可能性が高い。2人はそう思っていたのだが、陽華と明夜の願いは意外にも叶った。

 昨日風音から連絡があり、扇陣高校の校長は2人の講演への参加を許可したと風音は言っていた。何でも「向上心の高い光導姫は歓迎する」との事らしい。とにかく2人はランキング1位を直で見る事が出来るようになったのだ。

 講演の開始は17時から。終わるのは17時30分だと聞いている。光導姫ランキング1位『聖女』は表向きには、とても有名人であるし今回は国賓としても招かれている。ゆえに時間もそれ程しかないらしい。

 あと、当然のことながらファレルナが扇陣高校を訪れるのは表向きには秘密の出来事だ。この事を知っているのは、日本政府を含むごく一部の者たちだけだと風音は言っていた。

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