第344話 聖女来日1(6)
「やはり陽華と明夜はこうでないとな。また前を向いてくれて何よりだ」
「本当にね。あ、そう言えばあなたの所にも手紙は届いたアイティレ? あの光導会議に関する手紙」
アイティレの言葉に同意しつつ、風音はそんな事を隣のアイティレに問いかけた。風音の元にソレイユからの手紙が届いたのはつい昨日の事だ。
「ああ昨日の夜に届いた。今年の光導会議は延期されて8月に開かれることになったというあれだろう。まあ、今年は色々と特殊な年だからな。ソレイユ様もお忙しいのだろう」
「やっぱりそうよね・・・・・・・今年の光導会議は例年より長引くのは確定だし。話さなきゃならない議題が多すぎるもの」
陽華と明夜は未だに軽い言い合いを、アイティレと風音は手紙と光導会議のことについてそれぞれ話し合っていた。
するとそんな時、生徒会室の扉が開いて1人の少女が入室してきた。
「おお、皆さん。どうしたのでありますか。この時間はだいたい第3体育館におられるはずでは?」
その少女は少し短めの髪を揺らしながら首を傾げた。しかし、その表情は無表情である。
「あれ、芝居? 確かにいつもならそうなんだけど、今日はランキング1位が来日するという事もあって模擬戦は中止にしたの。それより、あなたはどうしたの? 基本的に芝居は土曜日の学校なんかに来ないんじゃ・・・・・・?」
「実は少しヤボ用がありまして、面倒ながらも学校に足を運んでいたのでありますが、自分が学校に来ているのを不幸にも校長に見つかったのであります。で、ついでに会長に連絡を頼まれてくれと言われまして、まずはここに足を運んだのであります」
不思議そうな風音に芝居は変わらず無表情でそう言った。無表情である事に変わりはないのだが、その言葉からは「面倒だ」という気持ちが見受けられたような気がした。
「それで同士。その連絡は私たちも聞いて大丈夫なのかしら?」
「問題ありませんよ我が友。ここにいる者は全て光導姫でありますから」
「光導姫だからだと・・・・・・?」
明夜と芝居の奇妙な共鳴を無視して、アイティレがその眉を寄せた。という事は、その連絡は光導姫に関する連絡ということか。
「それで芝居。その連絡ってなんなの?」
風音が改めて芝居にその連絡の内容について問いかけた。芝居は何でもないような口調でその連絡を行った。
「実は明後日、つまり月曜日に――おや? ちょうどタブレットに映っておいででありますね。この方――光導姫ランキング1位が当校に訪問してくださる事になった、とのことであります」
途中で風音の持ってきたタブレットに映る少女――ファレルナを指差しながら芝居はそう言った。
「「「「!?」」」」
そのとんでもない連絡に、芝居以外の4人はその目を大きく見開いた。




