第343話 聖女来日1(5)
「はえー・・・・・・やっぱり聖女様って凄いんですね。そういえば、2人は聖女様のことをお名前で呼んでいるって事は聖女様とお知り合いなんでよね? どんな人なんですか?」
「ああ。私と風音がファレルナと初めて会ったのは、2年前の光導会議が最初だ。それから何度かファレルナと共に戦ったことなどもあって顔見知りくらいにはなっている。ファレルナの人となりはと言えば・・・・・・・2人が知っているファレルナのイメージのままだ」
「そうね。私たちより年下なのに、すごく優しくて慈愛に溢れた子よ。それこそ世界で言われてる『聖女』みたいにね」
「ちなみにファレルナの光導姫名である『聖女』はそこから来ている。名付けたのはソレイユ様だ」
アイティレと風音からファレルナの事を聞いた陽華と明夜は、興味深そうにその瞳を輝かせた。
「へえー。やっぱり聖女様は聖女様なんですね。いいなー、私も1回聖女様に会ってみたいですよ」
「それなら私だって会ってみたいわよ。確か聖女様が日本にいる期間は1週間だったわよね。同じ東京にいるんだし、どっかでばったり会わないかしら」
年頃の少女らしく有名人に会いたいという気持ちも完全にないとは言えないが、陽華と明夜は1人の光導姫としてファレルナに会ってみたいと思った。一応2人はランキング1位というものを目標にしている。だから、現ランキング1位というものに実際に会ってみてその力量の差を知りたいと思ったのだ。
「うーん、それは難しいかな。今回ファレルナは国賓として日本に招かれてるし、偶然会うにしてもここら辺は東京の郊外だから」
「「ですよねー」」
風音の指摘に2人は揃ってそう言った。別に2人ともファレルナに会いたいが、本気で会えるとは思っていなかった。
「あ、そう言えば私アイティレさんと同じタイプなんだって明夜。浄化力より戦闘能力が高いタイプ! 言われてみれば体動かす方が性に合ってるし納得だよ」
「ふふん、それをいうなら私は聖女様と同じタイプよ陽華。戦闘能力よりも浄化力が高いタイプ。まあ、クレバーな私はゴリラな陽華と違ってそうなってしまうでしょうね」
「誰がゴリラ!? あと、明夜がクレバーなわけないでしょ! 明夜はアホなんだから嘘はダメだよ!」
「だから誰がアホよ!?」
ファレルナに関する話もひと段落したこともあってか、陽華と明夜は先程アイティレが言っていた光導姫の分類についての事を話し合っていたのだが、なぜか途中から軽い言い合いになっていた。といっても、本気の口喧嘩などではなく、親友特有の言い合いだと風音もアイティレも理解しているから、2人は微笑ましいような気持ちでその言い合いを聞いていた。




