第342話 聖女来日1(4)
「うーん、彼女の場合は強いって言うよりも・・・・・・・・」
「ファレルナの場合は戦闘力よりも、その桁外れの浄化力が凄まじいと言えるな。多分だが、戦闘技能においてはファレルナよりも私の方が上だろう」
「「桁外れの浄化力・・・・・・・・?」」
アイティレの言葉を聞いた陽華と明夜は揃ってその首を傾げた。2人のその反応を見たアイティレは、「そうか。2人はまだ新人だからその辺りはまだ詳しくはないのか」と言って2人に説明を行った。
「基本的に光導姫のタイプは3種類に分けられる。まあ、あくまで基本で中には特殊なタイプの光導姫もいるが、今はその話は置いておこう。まず1種類目は、浄化力よりも戦闘能力が高い光導姫。私はこの分類に当てはまる。おそらくだが、陽華もそうだと思う。このタイプは近接寄りの光導姫が多いな」
アイティレは右の人差し指を1つ立てて、説明を続けた。
「2種類目は、戦闘能力よりも浄化力が高い光導姫。この分類にファレルナが当てはまる。このタイプには遠距離戦を得意とする光導姫が多いから、明夜はこのタイプだと感じる。浄化力というのは、闇奴や闇人を浄化する力の強さだと思えばいい。この力が強ければ強いほど、闇奴や闇人の浄化は早く完了する。そして、ファレルナはその浄化力の桁が文字通り違う。ただの闇奴程度ならファレルナの前に立っただけで浄化されるほどにな」
「「・・・・・・・・・・・」」
アイティレの話を聞いていた2人はポカンと口を開けていた。立っているだけで闇奴を浄化? 陽華と明夜にはアイティレの言葉はちょっと信じられなかった。
「うん、まあ2人の気持ちは分かるわ。私もファレルナの話を聞いた時は信じられなかったから。・・・・・・・・まあ、でもこれが本当の話なのよね。それほどまでにファレルナの浄化の力は凄いの。それがファレルナがランキング1位である理由かな」
2人の顔を見た風音が苦笑しながらそう言葉を付け加えた。何度かファレルナと共に戦ったこともある風音はその力の一端を垣間見たのだ。
「ということだ。ちなみに3種類目だが、3種類目はいわゆるバランス型だ。戦闘能力と浄化力のバランスが均衡している。風音がこのタイプだ。そういえば、日本語でバランス型を表すような言葉があったな。確か・・・・・・・器用貧乏だったか?」
「ちょっとアイティレ。それどっちかって言うと、悪口よりの言葉なんだけど」
隣に座っているアイティレの言葉を聞いた風音がムッとしたような顔でアイティレに抗議する。風音の抗議にアイティレは、「む、そうだったのか。それはすまなかったな」と言って素直に謝罪した。




