第341話 聖女来日1(3)
「・・・・・・・・・・お前たち、賑やかなことも結構だが、今は――」
今までの流れを静観していたアイティレがどこか呆れたような表情で言葉を紡ごうとした。だが、アイティレの言葉が紡がれる前に、陽華がアイティレにこんな事を言ってきた。
「あ、アイティレさんもしばらくは日本にいますよね? だったらお正月は私たちと一緒に風音さんの神社に初詣行きませんか? 絶対楽しいですよ!」
「あ、それはナイスアイデアね。アイティレさんの振り袖姿・・・・・・絶対に美しいわ。アイティレさん、ぜひ行きましょう」
「む? そ、それは別に構わないが・・・・・・」
陽華と明夜の突然すぎる誘いに、アイティレは戸惑ったように、だがほんの少しだけどこか嬉しそうな顔になった。
「あはは、なら来年のお正月は私も頑張って巫女をやらなきゃね。正直に言うと正月の巫女の仕事ってけっこう忙しいから、私あんまり正月は楽しみじゃなかったんだけど、来年はちょっと楽しみになりそう」
どうやらアイティレも風音の神社に初詣する予定になったようなので、風音はそう言って3人を歓迎するような言葉を述べた。言葉通り、風音は来年の元旦が今からでも少し楽しみになってきた。
「そうか、それはいい事――ッ、それよりもだな。今日私たちがこうして映像を見ている、そもそもの話に戻るべきではないか?」
一瞬、陽華と明夜たちに流されてしまったアイティレだったが、途中で中断された自分の言葉を思い出し、そう言葉に放った。アイティレの言葉を聞いた3人は確かにといった感じの表情を浮かべた。
「すみませんアイティレさん。ついつい楽しくって・・・・・・」
「返す言葉もないです・・・・・・」
「うん、アイティレの言う通りね。ごめんなさい、ちょっと話が逸れ過ぎちゃった」
「別に責めてはいないし、怒っているわけでもない。そこは勘違いしないでくれ。私も話自体は楽しく聞いていた。ただ、そろそろ話を元に戻すべきかと思っただけだ」
陽華、明夜、風音の謝罪の言葉に、アイティレはフルフルと首を横に振った。アイティレは生真面目な性格だが、友人たちの本題から少し逸れた話を無駄だとかは決して思っていなかった。
「確か『聖女』様はまだ15才でしたよね? すごいですよね、私たちよりも年下なのにランキング1位って」
「風音さんが4位でアイティレさんが3位だから、当然ですけど『聖女』様は2人よりも強いってことですよね?」
早速といった感じで陽華と明夜はファレルナに関する思いや質問を述べた。その2人の言葉にファレルナと面識がある風音とアイティレは、お互いの顔を見合わせた。




