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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第337話 聖女来日 前日(4)

「悪かったな、捻くれてて。で、俺の方の理由は話し終わったぞ。今度はお前が教えろよ。何で『聖女』の事なんかを俺に聞いてきたんだ?」

 少しだけ不機嫌になったかのような声で、影人はそもそもの疑問をソレイユに聞いた。

「ええ、ちゃんとお答えしますね。私があなたに『聖女』の事を聞いたのは、彼女が光導姫ランキング1位『聖女』でもあるからです」

「は? 『聖女』が『聖女』?」

 何だそれはややこしい。その驚くべき情報から、まず影人が1番最初に思った事はそんなことだった。

「はい、ややこしいと思いますがそうなのです。本来ならば、私はあなたといえども光導姫の正体などの個人情報を言うつもりはなかったのですが、今回はあなたの住む日本の東京に彼女が訪れるという事で、事前にその事を教えておいた方がいいと判断しました」

 ソレイユが真剣な口調でそう言った。今言ったように基本的にソレイユは影人にも、光導姫の個人情報(それには光導姫の正体なども含まれる)を開示しない。別に影人がその個人情報をどうこうするとはソレイユも思っていない。これは単純に昔からのソレイユのスタンスなだけだ。個人情報を出来るだけ開示しない事が、ソレイユの出来る1つの事なのだ。

 しかし、影人は色々と特殊な立場だ。知っておいた方がいい情報もある。そう判断してソレイユは影人にこの情報を教えた。

「なるほどな・・・・・・まあ驚いたが、知っておいていい情報に変わりはない。だがよ、ソレイユ。俺は一般人で『聖女』のファンでもねえ。かえって向こうは有名人だ。関わりになる事なんかありえないぜ。それとも、俺はスプリガンとして『聖女』に接触するのか?」

「いえ、そういった予定は今のところありませんが・・・・・・・・・・その、本当に一応です。もしかしたら、あなたが接触するような事もあるかと思って」

 影人のその質問に、ソレイユは少し歯切れ悪そうに言葉を述べた。その様子は「まさかそんな事を聞かれるとは・・・・・・・」といったような感じである。

「だからそれはないって・・・・・・・・・・・善意からなんだろうが、やっぱお前抜けてるというか、ポンコツだな」

「なっ・・・・・・・!?」

 呆れを隠しもせずにそう言った影人に、ソレイユは、それはそれは驚いたような顔になる。

 だが、その顔は徐々に怒りの表情へと変わっていった。

「こんの・・・・・・・影人ぉ! 誰がポンコツですか!? 私は! 断じて! ポンコツではありません! これでもやり手の女神だと神界では言われているかもしれないんですよ!? ええい、不敬です! 今すぐに謝罪を要求しますッ!」

「かもじゃねえか! てめえのどこがやり手の女神だこの頭ピンク色! どうでもいい事でいちいち呼び出すんじゃねえ!」

「私の髪の色は関係ないですよね!? 善意は素直に受け取りなさいよこの捻くれ前髪!」

「誰が捻くれ前髪だ!? お前にそんなあだ名つけられるいわれは断じてない! そもそもな――!」

 なぜか言い合いになった(明らかに影人のポンコツ発言のせい)前髪野朗とポンコツ女神は、ぎゃあぎゃあとお互いの文句や悪口などを神界に響かせた。


(ダメだ。後半のゴミみてえな言い合いの印象が強すぎる)

 昨日の事を思い出していた影人は、ズズッとお茶を啜りながら死んだような目を浮かべた。

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