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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
330/2051

第330話 それでも少年は笑い、少女たちは前を向く(3)

「何ですかその薄い反応は!? 私頑張ったんですよ!? 本当に頑張ったんですよ!? もっと褒めてくださいよ!」

「お前は子どもかよ・・・・・・・まあ、よくやったんじゃないのか? 確かにお前の言う通り、光導姫と守護者が全部敵に回ったら面倒っちゃ面倒だ。一応、俺もそういったリスクは考えてたが、結局そこら辺の調整をするのはお前だったって事はちょっと忘れてた。そこに関しては悪かった。すまん」

 少し涙目のソレイユに呆れながらも、影人はソレイユに謝罪した。結果的に、影人はソレイユに尻拭いをさせてしまったからだ。

「べ、別に謝罪は求めていませんよ。あなたの行為が間違っていたとは私は思いません。ただ、少し悲しくはありましたが、それはそれです。だから謝らないでください。それより、問題はその会議であなたが高確率で敵認定を受けるかもしれないという事です。むろん、会議の際はあなたのあの宣言の事も引き合いに出されるでしょうから」

 ソレイユは影人の素直な言葉に一瞬照れたように戸惑ったが、すぐにその表情を引き締めて地べたに座っている影人にそう言った。今日は報告とちょっとした話し合いだけなので、イスやテーブルは用意していない。

「はっ、そうなったらそれはそれで俺は構わねえよ。むしろ上等だ。俺に向かって来た奴は、全員もれなく返り討ちにしてやる。もちろん、殺さない程度・・・・・・・は俺の役割上物騒だから、ちょっと痛い目にはあってもらうがな」

「いや、そこは笑みを浮かべるところでは・・・・・・・・というか、やっぱりあなたはそう言いますよね。私の予想通りです」

 強気な笑みを浮かべる影人に、今度はソレイユが呆れたような顔になった。おそらく、普通の人物ならば、この場面でこういった言葉は言わないのだろうが、この少年は見た目の割に普通とは違う事をソレイユは知っていた。

「ですが、影人。もし光導姫や守護者が敵に回れば、必然的に最上位の実力者たちも敵になるという事です。特に『提督』などはもっと苛烈にあなたを攻撃してくるでしょう。そして、その他のランカーたちも。あなたが強いのは知っていますが、油断していると・・・・・・」

「分かってるよ、油断は絶対にしない。と、今日の話はこれくらいでいいか? 一応、休める時は休んでおきたいからよ。また、仕事か他の相談事でもあったら念話してきてくれ」

 話し合いがひと段落したと感じた影人は、ソレイユにそう言った。影人の言葉にソレイユも、「ええ、話し合いたい事はとりあえず終わりましたし、地上に送りますね」と返して、影人を地上へと返した。

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