第327話 迫る会議、神々の会合(5)
「・・・・・・・・・・そう、ですね。いずれ光導姫や守護者にもあの事は伝えるつもりですが、今はまだ時期尚早でしょう。あなたの言う通り、カケラの事はまだあの子たちには黙っていましょう」
罪悪感を胸の内に抱きながら、ソレイユはラルバの意見を肯定した。自分を信じてくれている光導姫たちに隠し事をするのは、例え神といえども罪悪感を抱く。
(ふっ・・・・・・・私は何を今さら罪悪感を抱いているのでしょうか。別にこの罪悪感は今さら感じるものでもない。それこそ、ずっと前からあったものでしょうに)
内心自嘲の言葉を呟くソレイユ。そうだ、何を思い出したように罪悪感を抱いている。この罪悪感は昔からあるものだっただろう。それを最近は少しばかり心の奥底にしまっていただけ。
「とにかくこの議題は一旦これで終わりにしよう。これ以上議論しても今は意味はないからね。だから次の議題に移ろう。次の議題は――奴の、スプリガンのあの宣言の事についてだ」
「っ・・・・・・」
ソレイユが内心自嘲する中、ラルバが次の話し合いの主題を口にした。
「君もこの前の戦いの時、光導姫の目を通して再び奴を見て、光導姫の耳を通して奴のあの言葉を聞いただろう。自分の邪魔になるようなら、光導姫だろうと守護者だろうと潰す。あれは俺たちサイドに対する明確な敵対宣言だよ」
(やはり、ラルバも影人のあの宣言を聞いていましたか・・・・・・・)
当然といえば当然だ。最上位闇人との戦いは何が起こるか分からない。だから、ラルバもソレイユと同じように、守護者の目と耳を通してあの戦いを観察していたのだろう。
(ラルバはスプリガンの事を危険だと感じていました。そこにあの宣言も加わった。ラルバはスプリガンが敵であるという明確な証拠を聞いた。であるならば、次のラルバの言葉は予想がつく)
前回は何とかスプリガンの情報を限定化し、スプリガンを謎の怪人として最上位の光導姫と守護者に伝える事が出来た。だが、今回はきっとそれだけではすまない。
そしてラルバは決意を込めた目をソレイユに向けて、こう言葉を紡いだ。
「――スプリガンは俺たちの敵だ。今度は各ランキングの10位までじゃなく、全ての光導姫と守護者にスプリガンの事を伝えよう。もちろん、奴を敵として」
(あなたはこの事まで予想できていたのですか・・・・・・・・・・影人)
予想通りであったラルバの言葉に、ソレイユは一筋の冷や汗を流した。




