第326話 迫る会議、神々の会合(4)
「ええ、そうなんです。だから昔の自分がどういった性格なのかも忘れてしまって。――すみませんラルバ。緩やかな話はこれくらいにして、そろそろ本題に入りましょうか」
「・・・・・ああ、そうだね。俺たちが今日会うのはそういった話をするためじゃない。今日はあいつの・・・・・・・・レイゼロールの力についての話とその他諸々の真面目な話をする為の会議をしに俺と君は会っているんだ」
お互いを対面に見つめ合いながら、ラルバとソレイユの表情が真面目なものへと変わっていく。
「ラルバ、やはりあの力の波動は・・・・・・」
「うん、『終焉』の力の気配だった。俺たちがあの気配を間違えるはずがない。でもレイゼロールの『終焉』の力は、あの時に失われたはずだ。無数の黒い流星となって。だけど、その失われた力の気配がこの前したってことは、遂にレイゼロールがそのカケラの1つを見つけたってことだね」
ソレイユとラルバが今日会った理由、それはこの前の世界に奔った闇の気配についてのことだった。ソレイユとラルバはその気配のことをよく知っていた。
「レイゼロールのあの時に散った力のカケラは、全部で10個ほどだったと思いますが、レイゼロールは長年そのカケラを探しながらも、この前まで1つも見つける事が出来ていませんでした。それもそのはずですね、なにせ散ったカケラには長老の隠蔽の力が付与されていましたし。ですが、レイゼロールはそのカケラの1つを見つけてしまった・・・・・・・・・ラルバ、この事が意味する理由をあなたはどう捉えますか?」
「そうだね・・・・・・多分だけど長老の隠蔽の力が時が経って弱まったんじゃないかな。あの時からもう何千年だ。いくら長老の力といえども、弱まってきている可能性はある」
ソレイユとラルバの言っている長老というのは、この神界における最も位の高い神のことだ。
ここは神界。むろんソレイユとラルバ以外の神も存在する。だが、他の神々はソレイユとラルバのように人間にはほとんど干渉しない。ソレイユとラルバが例外的なだけで、それが本来の神のスタンスなのだ。
「確かにその可能性はありますね。今度また長老にその辺りの事も聞いておかないと・・・・・・・取り敢えずこれからの私たちの課題としては、レイゼロールのカケラの入手を阻止することも含まれますね」
「うん。レイゼロールが力を取り戻していくという事は、彼女の目的の達成が近づく事を意味するからね。それは阻止しなきゃならない。・・・・・・でも、まだこの事は光導姫や守護者に伝えない方がいいだろう。もしその事を教えるなら、必然あの事も教えなければならないかもしれない。それはまだ早いだろう?」
意味ありげな視線をソレイユに向けながら、ラルバがそう呟いた。カケラという物は、ある事実に繋がる言葉だ。そしてそのある事とは、現在のところラルバとソレイユが光導姫や守護者たちに伝えていないものだ。




