第325話 迫る会議、神々の会合(3)
「話は少し変わるが、今回の光導会議の主題は奴の・・・・・スプリガンの事になりそうだな」
「・・・・・・・・たぶんね。例年通りなら光導会議は7月、つまり今月中に開かれるはずだけど、今回の出席者はどうなるかしらね」
「さあな。前回の欠席者は『聖女』と『歌姫』、後は『芸術家』だったか。まあ、この3人に関しては仕方がないところはあるがな」
「有名人だものね、彼女たち。中々スケジュールが合わないんでしょう。ああ、そうだ。『聖女』と『歌姫』と言えば、夏に日本に来日するってニュースで見たわ。正確な日にちはまだ出ていなかったけど」
アイティレの振った話題に、そう言えばと風音がそんな事を言った。夏ということは、少なくとも7月中か8月には日本にやって来るということだ。
「・・・・・・それはまた凄まじい偶然だな。ランキング1位と2位が同時期に日本にやって来るとは」
「それをいうなら、ランキング3位のあなたも日本にいるけどね。でも、そうなると戦力の過剰集中が少し気になる感じだけど」
「そこらの事情はソレイユ様が考えておられると思うがな。しかし、スプリガンの事といい、最近の最上位闇人の出現頻度にレイゼロールの出現といい、いまや日本、とりわけこの東京に事態が集中している。その辺りの事情も加味すれば、一時の事とはいえ、戦力の過剰集中とは私は思わないがな」
「そう言われればそうかもだけど・・・・・・難しいところよね」
ランキング4位と3位の現実的な話に少しだけ疲れたように、風音はため息を吐きながら、窓から晴れ渡った空を見上げた。
「――すみません、ラルバ。少し遅れてしまいました」
「ぜ、全然待ってないよソレイユ。俺もいま来たところだから」
一方、神界の美しい花が咲き乱れる庭園、その西洋風の東屋で2柱の神が会していた。桜色の髪の美しい女神と金髪の麗しい男神。2人の姿はまさに絵になるものだった。
「ふふっ、やっぱりあなたは紳士ですねラルバ。昔はあんなに引っ込み思案で恥ずかしがり屋だったあなたが、今はこんな気遣いが出来るのですから、神も成長するものだとよく分かります」
「む、昔の話はよしてくれよソレイユ。それを言うなら君だって、昔はあんなにヤンチャ――」
「ヤンチャ何ですか? ごめんなさい、なにぶん昔の事なのでどうも忘れっぽくて」
「ははっ・・・・・・そ、そうかい」
ソレイユの完璧な笑みを見たラルバは、これ以上突っ込むのはやめようと即座に判断した。ソレイユが自分の好きな人物(恋愛的に)ということもあるが、昔からなんだかんだでラルバはソレイユに頭が上がらないのである。




