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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第317話 夏の到来、しばしの日常3(1)

 昇降口で自分の靴に履き替えた影人は、正門を出てとりあえず適当にふらつこうかと考えていた。だが、ふとある店のことを思い出した。

「・・・・・・・そういやタカギにまた行くって言ったのに、全然行ってないな。よし、今日はプラモでも作るか」

 新店主である水錫みすずにまた来ると言っておいて行かないのは少々失礼だろう。それに水錫にはシェルディアのプレゼントを選んでもらった恩義もある。ならば地元のオモチャ屋にお金を落とすことくらいが影人に出来ることだろう。

「何組むかな・・・・・・・マーカーはまだあったし色関係はたぶん大丈夫だ。やべえ、なんだかワクワクしてきた。やっぱり俺も男だな」

 湧き上がってくる少年の心を自覚しながら、影人はタカギ玩具店を目指し歩き始めた。それとこれとは関係ないのだが「少年のハート」と聞くと、影人はどうしてもある曲が浮かんでくるのだが、一般の人々はどうなのだろうか。(主にボードに乗ったロボット物)

「ライフゴーズオン、燃えー上がーる。いのーちーがーあーる限ーり・・・・・・」

 とあるロボットアニメのエンディング曲を口ずさみながら、影人はこの町の大通りを目指す。タカギはその大通りから1本逸れたところにあるからだ。

「帰りに肉屋でコロッケでも買ってくか。にしても、相変わらずボロいな」

 風洛高校から25分くらい歩いて影人は「タカギ玩具店」の前に来ていた。けっこう歩いたので今の影人は少し汗ばんでいる。

(この店が潰れないためにも、やはり多少は金を落とさないとな。そうだ、こんど暁理も連れてくるか。あいつもプラモとか好きそうだし)

 他者が影人の心境を聞けば「いやなに目線だよ」と突っ込まれるのは確実だろう。だが、別段思っている事は間違っていない前髪野朗である。

 そして影人は店内へと足を踏み入れた。ほんの少しだけ埃っぽい匂いが、「ああ、昔ながらの店だな」と思わせる。影人はこういった匂いが嫌いではなかった。

「いらっしゃ――おや? 君はこの前のプレゼント少年じゃないか。どうだった? プレゼントは喜んでもらえたかい?」

「お久しぶりです。ええ、水錫さんが選んでくださったプレゼント喜んでくれましたよ。その節はありがとうございました」

 前回と同じようにレジのスペース内の椅子で雑誌を読んでいたこの店の店主、髙木水錫が影人に気づきそう話しかけてきた。そんな水錫の言葉に、影人は笑みを浮かべながら頭を下げた。今の影人を見れば暁理などは「君は誰だ? 僕が知ってる影人はそんな綺麗な言葉遣いはしない!」と訝しげな表情を浮かべるだろう。

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