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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
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第295話 敵対宣言と気配の正体(4)

「ま、まあシェルディア様からしたらそうですよね。というか、まさかクラウンまで来るなんて意外でした。あいつ、いつからいたんでしょうか?」

「さあ? あの子の事は私にもよくわからないから。いつからいたのか正確には分からないわ。でも、ほぼ終盤だと思うけど。だって、序盤からいたらクラウンも戦闘に参加しているはずだもの」

 シェルディアと同じく断絶された『世界』から現実世界に戻ったキベリアの疑問に、シェルディアはそう答えた。クラウンの闇の本質の事もあるが、クラウンという闇人の事は、どうもシェルディアにもよく分からない。十闇の中でも、クラウンは新人の部類に当たるという事情も手伝っているが、クラウンの纏う雰囲気が1番大きな原因だろうとシェルディアは考えている。

「・・・・・・クラウンが来たのって、レイゼロール様の指示ですよね? レイゼロール様にはあの状況が読めてたんでしょうか?」

「たぶん保険の意味合いの方が強いと思うわ。スプリガンが現れた時の可能性を考慮してのことでしょうけど。スプリガンは闇の力を使うから、闇人の浄化は出来ないけど、その場に居合わせた光導姫が、スプリガンと戦って弱った冥と殺花を浄化するかもしれない。最上位闇人という手駒はあの子にとっても貴重だから、そんな事態は起こしたくない。そのための保険じゃないかしら?」

 キベリアの質問に、シェルディアはスラスラとまた答えを返した。そんなシェルディアの言葉を聞いたキベリアはついこんな事を言ってしまった。

「・・・・うーん、やっぱりシェルディア様って頭いいですよね。普段は見た目通り子供っぽいから忘れがちですけど」

「あら? だ・れ・が子供っぽいって? キベリアあなた、またデコピンをくらいたいようね・・・・・・!」

「わっ、わぁーー!? ご、ごめんなさいってシェルディア様! ついポロっと本音が・・・・・・・・・!」

 キベリアの言葉を聞いて、シェルディアはニコニコ顔でそう言ってきた。顔は笑顔だが、怒っているのが丸わかりである。その証拠に、デコ辺りに軽く血管が浮き出ている。

「本音ですって? 全くあなたって子は本当に生意気ね。ほら、おでこを出しなさい。大丈夫よ、私は優しいから軽くあなたが吹き飛ぶくらいの力でやってあげるから」

「それ普通の人間なら下手したら死にますよね!? ど、どうか許してください〜!」

「こら、待ちなさいキベリア!」

 緩い空気で軽い追いかけっこ状態になったシェルディアとキベリア。だが、力を封じているキベリアがシェルディアから逃れるはずもなく、3秒後にキベリアは捕まった。

「ひぃー! ごめんなさいごめんなさい! もう生意気な事は言いませんから、マジデコピンだけはどうかーーー!」

「・・・・・・はあー、うるさいわね。興が削がれたわ。もう何もしないから、安心なさいな。それより、私これからレイゼロールに会いに行くけど、あなたはどうする? 別に行く用事がないなら、1度マンションに戻ってあなたを置いていくけど」

 泣き叫ぶキベリアに呆れたような表情を浮かべながら、シェルディアはそう聞いた。シェルディアの言葉を聞いたキベリアは意外そうに「えっ!?」と驚いたような声を上げた。

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