表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
286/2051

第286話 勝者は(1)

(・・・・・・・・すみませぬ、我が主。主のお力になれず、己はここで逝く運命のようです)

 自分に迫ってくる『提督』の最大浄化技――全ての存在を永遠に凍らせる極光の浄化の銃撃を見つめながら、殺花は内心そんなことを思った。

(不甲斐ない、敵を誰1人道連れに出来ず浄化されるとはな・・・・・・・・)

 あと数秒で殺花は浄化されるだろう。『提督』ほどの光導姫の最大浄化技を真正面から受けては、さすがの殺花も浄化されることは免れない。

 殺花が闇人にとっての死を覚悟し最後に思ったことは、ただレイゼロールに対する謝罪の気持ちだった。

 最上位の闇人の1人が浄化される――光導姫と守護者にとって凄まじいアドバンテージになるはずだったその事態は、しかし訪れることはなかった。

「――1,2,3であら不思議。アレとコレが入れ替わり! ですー」

「「!?」」

 浄化の光が殺花の目の前まで迫った瞬間、どこからか男の声が聞こえてきた。

 パンッ! と手を叩く音が聞こえたかと思うと、その時不思議な事が起こった。

 なんと両足が凍って動けないはずの殺花の姿が突如として消えたのだ。そして殺花のいた位置には、手のひらサイズのピエロ人形が出現していた。

 アイティレの放った最大浄化技はその人形を空中で凍らせた。いや、凍らせながら人形はまるで砂のように崩れて去っていった。

 何が何だか分からぬまま、必中であったはずのアイティレの最大浄化技は失敗に終わったのだ。

「っ、いったい何が・・・・・・・・・!?」

 これにはさすがのアイティレも混乱することを余儀なくされた。何者かの声が聞こえ手の叩く音が聞こえたかと思うと、殺花の姿は消えていた。透明化ではない。なぜなら殺花は動けなかったからだ。

(あの姿を霧のように変える技を使ったのか? いや、それはない。それならばもっと早くに使っていたはずだ。だが、私の永久凍撃は何かには当たった。いったい何に当たったというのだ?)

 標的であった殺花が消えた事はアイティレにも一瞬ではあったが見えた。アイティレの最大浄化技である『永久凍撃、全開発射』はその威力は申し分ないのだが、その1つの欠点は視界性の悪さだ。全てを凍らせる極光の光の銃撃は、その光の太さとでも言うべき範囲の大きさから、撃ってしまえば標的の姿が非常に確認しづらくなる。標的の姿が見えるのは、最大浄化技が敵に収束する前のほんの一瞬だけだ。

 そしてその一瞬の間に殺花は忽然と姿を消していた。アイティレが呆然としていると、どこからかおどけたような男の声が聞こえてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ