第28話 考察(3)
「彼を、スプリガンを、あまり信用、しないほうが、いい・・・・・・!」
昨日、負傷した光司が陽華と明夜に言い残した言葉が、陽華の心にわだかまりのようなものを残していた。
今日、光司は学校には来ていなかった。きっと昨日の負傷のせいだ。明夜と光司の家にお見舞いに行った方がいいかと話していると、そもそも2人とも光司の家がどこにあるか知らなかったのでお見舞いはなしになった。
明夜も今日は書道部があるので、陽華は1人で学校から帰ったのだが、いざ自宅に帰って1人でぼうっとしていると、光司のその言葉が陽華の胸の内に蘇ってきたのだ。
(香乃宮くん、何であんなこと言ったんだろう・・・・・?)
窓から夕日が差し込む中、陽華はそんなこと考える。昨日は光司が負傷していたため、その辺りの理由は聞けなかった。(ちなみに光司は1人で帰った。陽華と明夜が家まで肩を貸すと言ったが、光司は頑なに断ったのだ)
スプリガンは自分を、そして昨日は明夜まで助けてくれた恩人だ。しかし、光司はその恩人を信用しないほうがいいと言う。一体なぜなのか。
(スプリガン・・・・・・無事だよね?)
スプリガンは闇人という、とてつもない敵から自分たちを逃がしてくれた。いや、もしかしたら他の理由があり、自分たちが邪魔だったのかもしれないが、結果的には自分たちを逃がしてくれたのだ。
あの闇人、確かフェリートと名乗っていたが、フェリートは恐ろしく強かった。それこそ、陽華と明夜、光司が絶対に勝てないだろうと思うほどには。
スプリガンが簡単にはやられないだろうと信じている陽華だが、陽華にはスプリガンの無事を確かめる方法はない。
「あなたは今、どこで何をしているの? スプリガン・・・・・・」
切ないような気持ちを抱きながら、陽華はオレンジ色に染まった空を窓から見上げた。
一方、そのスプリガンはというと、ソレイユとのお茶会で東京バナナを食べていた。
短くなってしまい申し訳ありません。区切りの問題でこのようになってしまいました。許してください。何でも




