第266話 光を臨む(3)
「それでいい、そしてそのまま聞け。陽華、お前は、お前たちは弱い。本来ならば、この戦場のレベルはお前達には早すぎる。お前達がなぜここに来たのか、なぜ乱入してきたのかは今は問わん。それはこの戦いが終わった後に聞けば良いことだからな」
「ッ・・・・・・・・・はい」
容赦のない言葉を聞かされた陽華は、一瞬悔しそうに唇を噛みしめると、絞り出すようにそう答えた。
「・・・・・・・確かにこの相手は1体1体は強くない。お前達でも十分に対応できる強さだ。だが、不測の事態というものはいつだって起こり得る。それが戦場ならば殊更に、弱い者なら尚更だ。・・・・・・・私は、私達はお前たちを死なせたくはない。お前達のその気持ちの良いまでの明るさと、心の光はかけがえのないものだから」
四方八方にマズルフラッシュを輝かせながら、その中心で銀の髪を踊らせる光導姫は、自分の、自分や他の光導姫や守護者の思いを後輩の光導姫へと伝える。
先ほど陽華たちへのフォローに回ることを情からではないとアイティレは言ったが、やはり情というものも完全にないと否定は出来なかったのだ。
「いや、違うな。どうも私は不器用らしい・・・・・・・・単純に、仲間を失うのは絶対に嫌だろう? だから、今は手助けさせてくれ陽華。『提督』の名において、お前達をこの戦場から必ず生きて帰してみせよう!」
「アイティレさん・・・・・・・・」
アイティレの思いを知った陽華は、つい先ほどまでの自分を大いに恥じた。自分は何という大馬鹿者だろうか。アイティレの言うとおり、きっと自分は無意識に自惚れていたのだろう。
(アイティレさんは本気で私や明夜のことを心配してくれてるんだ・・・・・・・だから本気の言葉を掛けてくれたんだ! なら、私もその思いに応えなきゃ!)
反省と悔いの時間は終わりだ。陽華は両手で自分の頬をパァンと叩くと、1度自分の意識をリセットした。
「ごめんなさいアイティレさん! 私達はまだ未熟なのでフォローお願いします!」
「ああ・・・・・・それでいい」
陽華のその言葉を聞いたアイティレは、ほんの少しだけ口元を緩ませると、明夜と光司に呼びかけを行った。
「明夜! 『騎士』! そのままこちらと合流してこい! 固まって迎撃する!」
「! 分かりましたお姉さま!」
「っ、了解しました『提督』!」
アイティレの声を少し離れた位置から聞いた明夜と光司は、それぞれ返事をすると闇のモノたちを撃退しながら、陽華とアイティレの元へと向かってきた。
だがその途中、不吉な黒い影が何もない虚空から姿を現わした。
「なっ・・・・・・!?」
明夜は突然自分の近くへと現れた影にその瞳を見開いた。
その影――殺花は明夜の右斜め後方から、その凶刃を明夜へと振るった。




