第250話 役者、揃う(3)
(・・・・・・・・・話は理解出来た。ソレイユ、結局その闇の気配は何だったんだ?)
事情を理解した影人は、ソレイユに突然発生した闇の気配について聞いた。
『それが・・・・・よくわからないのです。闇の気配が世界に奔ったのはその一瞬だけで、それ以降はもう何も闇の気配は感じられませんでした。・・・・・・・・一応、スイスにいる光導姫に気配がした中心地を探ってもらっているので、その報告待ちといったところです』
(釈然としねえな・・・・・・・・なあ、その光導姫は危険じゃねえのか? もし何かあったら・・・・・)
『それについては大丈夫です。ラルバも守護者を送ってくれていますから。それより影人、問題は――』
(・・・・・・・・・・ああ、問題はこっちだな)
影人は少し冷や汗を流しながら、戦場を観察していた。今はまだ2人の突然の乱入による混乱で、戦場は一瞬の停滞が場を支配している。だが、この混乱が解かれるのはもう、すぐだ。
(ソレイユ、最後に確認だ。転移の準備自体はまだ時間がかかるのか?)
『すみません、あと1分ほどだけ掛かります』
ソレイユが申し訳なさそうにそう言った。ソレイユのその言葉を聞いた影人は、ある決意をした。
(分かった、俺も戦場に出る。俺の登場で1分くらいは余裕で稼げるはずだ。その間に、お前はあいつらを転移させろ)
今のこの膠着が後1分も続くはずがない。そして、この戦場ではあの2人が死ぬのに1分という時間は十分すぎる時間だ。
もちろん『提督』や『巫女』、光司やもう1人のあの和装の守護者も、陽華と明夜を助けてはくれるだろうが、もしもという事もある。
ゆえに影人は自分が表に出る事で、戦場にいる全ての者たちの注意を引く事を考えた。
『影人・・・・・・・・・すみません』
(謝罪の言葉は不要だ。今回の事態はお前の落ち度じゃない。だから、謝るな。・・・・・・・転移の件は頼んだぜ)
帽子に軽く触れながら、影人は闇の力により消していた気配を解放した。そして影なる暗躍者は、表舞台へと足を踏み出した。
「ああ? また乱入者かよ、まあ強けりゃ俺は歓迎だがな」
陽華と明夜の出現により、戦いは一時的にだが止まっていた。風音、刀時と戦っていた冥は2人の姿を見ると口角を上げてそう言った。
「ッ!? 何で2人がここに・・・・・・・」
「誰だあの2人・・・・・・? まだ援軍が来るなんて聞いてなかったけどな?」
陽華と明夜の事を知る風音は、光司と同じような反応を示し、2人を知らない刀時はそのような反応を示した。
「陽華と明夜・・・・・・・・? いったいどういうことだ?」
アイティレもその表情を疑問と驚きが入り混じったものに変え、2人を見つめた。
「あの装い、2人組の光導姫・・・・・・・・・・もしや、レイゼロール様の言っていた・・・・・」
だが、殺花だけは他の者たちとは違った反応を見せた。レイゼロールは冥には十闇召集の副次的理由を述べなかった。それは単に時間的問題があったからだ。
しかし、冥よりも速く本拠地へと戻っていた殺花は、レイゼロールからその副次的な理由も聞いていた。まだ新人の2人組の光導姫が、目障りである事。将来的に自分たちにとって、危険になる可能性が大いにあり得るという事を。




