表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
249/2051

第249話 役者、揃う(2)

(ソレイユ! おいソレイユ! いったい全体どうなってんだ!? 何であの2人がここにいるッ!?)

 感情を動かされたのはシェルディアだけではない。それは林の木の裏から戦場を観察していた影人も同じだった。だが、影人はシェルディアよりも激しく動揺していた。影人にしては珍しいほどに。

『――っ、聞こえています影人。あなたの反応はもっともですが、まずは一旦落ち着いてください・・・・・・!』

(これでもまだ落ち着いてるほうだ! 肉声じゃなく心の中で話してるからな!)

 確かに今の影人は激しく動揺しているが、最低限の冷静さだけはまだ持ち合わせていた。その最後の冷静さが影人の長所の1つだった。

『・・・・・・・確かにそうですね。影人、よく聞いてください。陽華と明夜を転移させなかった、いや転移できなかった理由があります。今から私が一方的に、出来るだけ手短く話すので、あなたはただ聞いていてください』

 ソレイユはそう前置きすると、その理由について話し始めた。

『私はあなたに言った通り、2人の転移の準備を進めていました。陽華と明夜は10位の彼の心配からだと思いますが、程なくしてあなたが観察している戦場の方へと移動を始めました。当然、2人がそちらに着く間に転移の準備は終わるはずで、陽華と明夜は転移できるはずだったのですが・・・・・そこで問題が起こりました』

 いつになく女神らしい威厳に満ちた冷静な声音で、ソレイユは話を続けた。

『つい先ほど、ヨーロッパのスイス周辺を中心として、強大な闇の力が発生しました。その強大な闇の気配は全世界へと奔ったほどです』

「っ!?」

 強大な闇の気配。ソレイユのその言葉を聞いた影人は、先ほど感じたあの得体の知れない感覚を思い出していた。何か強大な力を感じたあの感覚。もしかすると、自分はそれを感じたのだろうか。

『・・・・・・その強大な闇の気配に、私は優先順位の変更を余儀なくされました。2人の転移よりも、その緊急の事態に対処しなければならなかったのです』

(・・・・・・・・・なるほどな。だから、あいつらがここに着く前に終わるはずだった転移が出来なかったのか)

 ソレイユの話を聞いた影人は、2人がここに来てしまった理由を理解した。お人好しで情に厚いあの2人のことだ。2人が光司のことを心配してこの戦場に来る可能性はあるにはあった。影人はその事を懸念していたし、恐らくソレイユもその事は分かっていたのだろう。

 だから、2人がここに着く前に転移の準備をしていたのだろうし、本来ならそれは出来ているはずだった。陽華と明夜はここに着くことなく、安全な場所へと転移されるはずだったのだ。

 だが、影人も感じた突然の強大な闇の気配がソレイユの計算を狂わせた。ソレイユはその闇の気配のことを探らなければならなくなった。その結果、本来間に合うはずだった転移が間に合わなくなり、2人はこの戦場へと辿り着いてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ