第238話 表の戦い(1)
「やぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
「ふッ・・・・・・!」
陽華と光司の一撃が、虎のような姿をした闇奴の腹を貫いた。虎のような闇奴は「グルゥ!?」と苦悶の声を上げた。闇奴は2人から逃れようと距離を取ろうとするが、後方に控えていた明夜がそれを許さない。
「氷の矢、水の鞭、我が敵を射抜き縛れ!」
明夜の意志を受け、明夜の周囲に氷の矢と水の鞭が「力」として世界に顕現した。氷の矢と水の鞭は逃げようとする闇奴の体を次々と射抜き、その体から自由を奪った。
(俺が出る出番はなさそうだな・・・・・・・・・)
スプリガンとして、少し離れた電柱の上から戦いを観察していた影人はそう考えた。
「ソレイユ、そういえばお前俺があいつらの戦いを見てる間に、後で話をするとかなんとか言ってなかったか?」
影人がいる電柱の上はまあまあ上空なので、声が聞こえる事もないだろうと肉声で影人はソレイユに念話した。
『それはあるにはあるのですが・・・・・・影人、なぜ電柱の上にいるのですか?』
戸惑ったように逆にそんな事を聞いてくるソレイユに、影人は「仕方ねえんだ」と前置きしてこう言葉を続けた。
「あいつらから見えない所で、俺が戦いを見れるのはここしかなかった。ここら辺はたぶん東京の郊外の郊外なんだろうな。色々と建物がなさすぎる」
影人はその金の瞳でチラリと周囲を見渡した。影人の住んでいる地域も東京の郊外で、まあまあな田舎だがここはそれよりも景色がのんびりとしている。
『確かによく見てみればそうですね。・・・・・・あなたの国には「馬鹿と煙は高いところへ上る」という言葉がありますが、あなたはそうではないようですね」
「おちょくってんのかてめえ・・・・・・・・・・バカ女神が俺にケンカ売るなんていい度胸してんじゃねえか」
『いや、神に暴言を吐きまくってるあなたには言われたくないですが・・・・・・・・と、いけません。話が脱線してしまいました。あなたにする話でしたね。影人、あなたにお願いがあります』
ソレイユは脱線していた話を元に戻すべく、そう言葉を切り出した。いわゆる閑話休題というやつか。
『影人。この戦いの無事を見届けたら、あなたには10位の彼と同じように、次の戦場に行ってもらいたいのです。すなわち、闇人2人と「巫女」に「提督」などが入り乱れる戦場に』
「・・・・・・・やっぱり話ってのはそれか」
ソレイユの「お願い」の内容を聞いた影人は、一応は予想していたその話にそう言葉を返した。




