第234話 予感(2)
「・・・・・・わかった、ならお前たちが組んでくれたのなら、何か褒美を与えよう。これが我から出来る最大の譲歩だ。・・・・・・・・・・・だが、もし断るのなら――我も力づくという方法を取るしかない」
「「っ!?」」
レイゼロールがその身から重圧を放つ。レイゼロールもこのような面倒な方法は取りたくはなかったが、2人がそれでも拒絶するというならもう手段は選ばない。
「・・・・・・我とお前たち十闇との関係はある意味特殊だ。ゆえに我はある程度の我儘などは許容するつもりだ」
レイゼロールがその身に闇を纏い、2人を睥睨する。玉座から2人を見下すその姿は、まさに闇統べる女王だ。
「だがな、限度というものがある。我がわざわざ頼みと言っている内に、頷け。その方がお前たちのためだ」
「・・・・・・・・・・・・ははっ、いいね。やっぱりあんたはそうでなくっちゃな。・・・・・・いいぜ、レイゼロール。今回だけはこいつと組んでやる。ただし、褒美はもらうぜ」
「すみませぬ主。己が影なる身であれば、己の感情などは任務の二の次でした。謹んで、主の命をお受けして冥と今回の任務に当たります。褒美に関しては、己はいりませぬ。主の命こそ己の最大の喜びであれば」
レイゼロールの重圧に反射的に反応した2人は、レイゼロールから更に距離を取りながら、各々の言葉を述べた。冥と殺花、それぞれが頼み事を受諾した事を確認したレイゼロールはその重圧を消し、身に纏っていた闇を霧散させた。
「ならばいい。冥、お前の褒美に関しては聞いておこう。何が望みだ?」
レイゼロールが冥にチラリと視線を向ける。その言葉に冥は自分の欲望を口にした。
「俺の望みは、ゼノの兄貴が戻って来たらゼノの兄貴と戦う事だ。だから、あんたには兄貴に俺と戦ってもらえるように口添えしてもらいたい。ゼノの兄貴は気分屋で面倒くさがりだからな。中々戦ってもらえないんだよ」
「ゼノとの戦いか・・・・・・・よかろう。ゼノが戻って来たあかつきには、我がゼノに命令する。ゼノも我の言うことなら、まだ聞くであろうからな」
「謝謝。なら、話は終わりだ」
その言葉を聞いた冥はニカっと笑みを浮かべた。殺花は褒美はいらないと言っていたので、レイゼロールは冥の言葉通り、話はまとまったと感じた。
「では、冥の力を解放ししだい、我がお前たちを現地へと送る。ついでに、近くで闇奴を1体ほど生み出してエネルギーを回収しておく。では、しばし解散だ。冥だけは残れ」
「あいよ」
「了解。では、己はこれにて」
冥は力を解放すべくその場に残り、既に力を解放している殺花は闇へと消えた。
2体の闇人の了承を得て、レイゼロールの思惑が動き出そうとしていた。




