表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
229/2051

第229話 狂拳と殺影(2)

「いや、そうではない。クラウンの話については我が直接現地に行き調査する。お前に頼みたいのは、一種のカモフラージュだ」

「カモフラージュ・・・・・・・・・陽動でございますか?」

 レイゼロールのその言葉に殺花が方眉を上げた。殺花には自分の主の思惑がまだ理解できないでいた。

「そうとも言うな。もちろん我1人なら気配を消すことは出来る。ゆえに本来ならそのようなカモフラージュは必要ないのだが・・・・・・・もしクラウンの噂話が本当で、そのカケラが我の探している物の1つだったのならば・・・・・・・その時にはお前のような力を持つ闇人のカモフラージュが必要になるのだ」

「・・・・・・そうでございますか。元よりこの身は主の物。陽動でも何だろうと何なりとお使いください」

「・・・・・・・・・理由も聞かずにそのような言葉か。お前の忠誠心の厚さには我も助かっているよ」

 殺花はフェリートと並んでレイゼロールへの忠誠心が高い闇人だ。そして殺花は、その戦闘能力も極めて高い。ゆえに殺花の存在をレイゼロールは重宝している。

「己のような役立たずには勿体なきお言葉です。己は情報収集も専門のはずなのに、主の求める情報を何一つ持ち帰れなかった役立たず。かたや『道化師』に情報収集も負ける始末。・・・・・・本当に申し訳ない所存です」

「気にするな・・・・・・・・・・と言っても、お前やフェリートは気にするか。ならば、今回の働きで挽回しろ。今からお前に、我の頼みその内容を話す」

 恥じるような物言いの殺花に、レイゼロールはあえて威厳たっぷりにそう述べた。レイゼロールのその言葉に殺花は「はっ」と短く頷いた。

「では話そう。お前にしてもらいたいカモフラージュ、それともう1つ目的について――」

 レイゼロールがいよいよその事を話そうとした時、暗闇からある男の声が聞こえてきた。

「おい、レイゼロール。てめえ、いきなり呼び戻しやがって何のようだよ? くだらねえ話だったら承知しねえからな」

 粗野な言葉と共に暗闇から姿を現したのは、1人の青年だった。

 黒色の道士服に身を包み、長い髪を三つ編みに纏めたその男性の姿を見たレイゼロールは、そのアイスブルーの瞳を少し曇らせた。

「・・・・・・・・・ミィンか」

「おう、俺だ。ったく、此処まで戻って来るのは大変だったぜ。・・・・・・で、俺を呼び戻した用件ってのは――」

 冥と呼ばれた青年がガリガリと頭を掻きながら、そう言った最中、殺花が音もなくその姿を消した。

 そして次の瞬間には、冥の首元に鈍い輝きを放つ短刀が添えられていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ