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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
227/2103

第227話 特訓の成果(5)

「逆巻く炎を光に変えて――」

「神秘の水を光に変えて――」

 2人は重ね合わせた手を闇奴へと向ける。

「「浄化の光よ! 行っっっっっっっっっっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」

 浄化の光の奔流が闇奴を襲う。弱体化していた闇奴はなす術もなく光へと飲み込まれた。光の奔流が収束すると、後に残ったのは浄化された人間だけだった。

「やったね! 明夜!」

「ええ。上々だわ陽華」

 2人は笑顔でハイタッチをしあうと、闇奴化していた人間の介抱へと向かった。当然、光司も2人に続き闇奴化していた人間の介抱へと向かう。

「・・・・・・・・・・こいつは」

『これは・・・・・驚きましたね。2人とも分かりにくくはありますが、体捌きや浄化の力が前よりも向上しています。これが巫女との特訓の成果ですか・・・・・』

 ソレイユの声が再び影人の脳内に響く。その声からソレイユもこの戦いを見ていた事が窺えた。おそらく影人の視界から戦いを見ていたのだろう。

(お前にしては珍しくまともな考察だな。浄化力云々は俺には分からんが、確かに朝宮の体捌きは前よりキレがあったような気がしたぜ。まあ、それは香乃宮も同じな気がするがな)

 声で自分の潜んでいる場所がバレないように、影人は心中でそう呟いた。影人ももちろん戦いの素人ではある。だが、何だかんだ戦っている内にその観察眼はかなり鍛えられている。

 まあ、影人の場合は観察眼が鍛えられているというよりは、観察眼を鍛えなければ死という状況だったのだが、本質は同じだ。

『カチンとくる言葉があった気がしますが、今回は流しましょう。守護者の彼に関しては、元のレベルが高かったので私には分かりかねましたが、明夜も浄化力を上げていましたよ。ふふっ、これは巫女に感謝しなければなりませんね』

(あいつか・・・・・・・・・まあ、多少なりとも強くなってるなら重畳だな)

 巫女の顔を思い出しながら、影人はそう結論づけた。先ほどはソレイユにあまり期待せずに見守ると言ったが、2人の実力は影人が思っているよりも上がっているかもしれない。

「しかし・・・・・2人とも強くなったね。前の君たちなら、もう少し獣人型の闇奴に手間取っていたと思うよ。これも巫女――連華寺さんとの特訓の成果かな?」

 影人が物陰でソレイユとそんな事を話し合っている間、闇奴化していた人間の介抱を終えた光司が陽華と明夜にそう問いかけた。

「本当!? だってさ明夜! 私たち前より確実に強くなってるんだよ!」

「そうね陽華。こんなに嬉しい事はないわ。あのキツい模擬戦に耐えてきた甲斐があったってものね。・・・・・・・模擬戦? うっ、ダメだわ。先週のアイティレさんとの戦いが・・・・・・・」

「思い出しちゃダメだよ明夜! あの記憶は忘れなきゃ!」

 陽華が頭を押さえる明夜にそう呼びかけた。先週の金曜日の放課後に2人は光導姫ランキング3位『提督』こと、アイティレ・フィルガラルガと実戦形式で戦ったのだが、見事にボコボコにされた。しかもアイティレはスパルタであったらしく、それはそれはみっちりと鍛えられたのだ。

「あはは・・・・・・どうやら大変だったみたいだね。でも本当に2人は凄いと思うよ。確か2人は今月で光導姫になって2か月だったかな? 2か月であのレベルで動けて浄化力も上がっているのは、僕は見たことがなかったよ」

「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいです! でも香乃宮くんもいつも通り凄かったよ! 香乃宮くんがいなかったら絶対あんなスムーズには浄化出来なかったもん。いつもありがとう香乃宮くん!」

「っ・・・・・いや、僕はやるべき事をしただけだから」

 陽華の輝くような笑顔に、なぜか頬が熱くなるような気がして光司はその顔を背けた。なぜかは分からないが、心臓も鼓動が速まっている気がした。

「さて、私たちもそろそろ戻りましょう。たぶんもう少しで昼休みが終わるわ」

「げっ! それはまずいよ明夜! 私まだお昼ご飯食べてない!」

「じゃ、じゃあ走って戻ろうか。走って戻ればギリギリお昼ご飯くらいは食べれるかもしれないから」

 2人の言葉を聞いていた光司が、何とか笑顔を浮かべてそう言った。陽華と明夜は光司の言葉に頷くと、変身を解除した。光司も2人に続き変身を解除すると、3人は風洛高校へと戻るべく駆け出した。

「・・・・・・・・・・さてと、俺も戻るとするか。飯食えるかな・・・・・」

 3人が走り去った事を確認した影人は姿を現すと、自分も昼飯にありつくべく徐々に歩みを速くした。2人が強くなっているという事実を知った影人は、少しだけ、ほんの少しだけ、喜ばしい気持ちを抱いた。

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