第212話 イヴ・リターンキャッスル(4)
「――ていう事があって、問題は解決したってわけだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・何というか、やはりあなたは無茶苦茶ですね。そんなあなたに慣れてきた私が、少し悲しくなりますが」
「褒め言葉として受け取っといてやるよ」
己の精神世界でのいきさつをソレイユに話した影人は、呆れているソレイユを見てふんと鼻を鳴らした。
「とりあえずこれで俺の悩みは消えた。しかも新しい力も得られたからだいぶ儲けもんだったぜ。まあ、なんか娘みたいな奴も増えたし、今回は上々だったな」
「だから俺は娘じゃねえ。2度と間違えんなよ影人」
影人の言葉を隣に座って聞いていたイヴは、心底嫌そうにその顔を歪めた。
「つれねえな。さっきは親父って呼んでくれたのに」
「あれはその場の勢いで言っただけだ! 勘違いするな!」
「あはは・・・・・・・」
影人とイヴのやり取りを見たソレイユは苦笑いを浮かべた。
影人が精神世界から戻ってきてその目を覚ました時、影人は案の定ソレイユに膝枕をされている状態に驚きとてつもなく嫌がった。その影人の態度にソレイユもムキになり口論になった。そして口論も終わり、影人から「見せたい奴がいる」と言われ、ソレイユが何の事か戸惑っていると、影人の横の空間にある少女が現れた。それがイヴだった。
それから何が何だか分からないソレイユに、影人は精神世界で何があったか、それにイヴについての事を話した。イヴが影人の言っていた「悪意」であることには驚かされたが、ソレイユの感想は今さっきいった言葉に集約されている。帰城影人という少年はどこか無茶苦茶なのだ。そう納得するしかない。
「ところで影人。イヴさんはなぜ肉体を得て私達の前にいることが出来ているのですか? イヴさんはスプリガンの力、その意志。話を聞いていた状況から考えるに、イヴさんは肉体を得たかったから影人の体を乗っ取ろうとしたんですよね? ですがイヴさんはこうやって私達の前にいる。これはいったい・・・・・・」
「へー。アホ女神にしてはいい質問だな」
「誰がアホ女神ですかっ! そういうのは本当にやめてください! 私が本当にアホみたいじゃないですか!? というか今のあなたはスプリガンなんですから、見た目と言葉のギャップが凄いんですよ! だから尚更やめてください! スプリガンのイメージが壊れます!」
ある意味いつも通り、プンプンと怒りながらソレイユは影人に抗議した。今の影人はスプリガンの変身を解いていないため、普段の影人と同じ言葉を聞くと、そのギャップが凄まじい。
「知るか。別にここには俺の正体知ってる奴しかいないからいいだろ。それよかお前の質問に対する答えだが――」
スプリガンの姿のまま、影人は対面に座るソレイユに事情を説明した。




